「雪解け水」と聞くと「ただ雪が解けた水」と思われがちですが、実はそれだけではありません。山岳部の雪解け水は地下で溶岩などの天然フィルターを潜り抜け、清浄で澄んだ透明感のある水になります。そのうえ雪が解ける過程で、大量の酸素やミネラルを含んだおいしい水になることも。今回は、そんな綺麗な「雪解け水」が観光名所にもなっている人気スポットを紹介します。
日本情緒あふれる「忍野八海」
山梨県では「忍野八海」が有名どころ。富士山の噴火のあと、雪解け水が数十年かけて地下の溶岩を通ってろ過され、透明度の高い8つの湧水池ができました。世界遺産である富士山の構成資産のひとつで、日本の名水百選にも選ばれています。

湧水池の周辺には茅葺屋根や水車があり、日本の原風景が見れるのも人気の理由。池だけでなく春は桜と富士山、秋は紅葉と富士山など、季節ごとの絶景も見どころです。

また8つの湧水池のひとつひとつに竜王(龍神様)が棲んでいると言われ、パワースポットとしても有名。それぞれの池には石碑があり、竜王の名前や和歌などが刻まれているのでひとつずつ見て回るのも楽しそうですね。
名水百選の2部門で1位獲得の「安曇野わさび田湧水群」
北アルプスから雪解け水が流れこむ長野県の「安曇野わさび田湧水群」は、1日に70万トンもの湧水量を誇ります。真夏でも水温が15℃を超えることがなく、清らかで豊富な水を活かしたわさびの栽培が盛ん。さらに排水はニジマスや信州サーモンの養殖に循環利用され、名産品になっています。

わさびの生産量は長野県が全国一位で、なんと9割が安曇野産。なかでも「大王わさび農場」は、日本一広いわさび園としても知られています。

安曇野の象徴ともいえる「憩いの池」は、湧水を集めた池を中心に整備された緑地帯で、湧水の美しさを実感できるおすすめスポット。名水百選人気投票では、「観光地として素晴らしい名水部門」と「景観が素晴らしい名水部門」の2部門で1位を獲得しました。