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次々と現れる巨岩が圧巻! 古代の磐座信仰から始まり南北朝騒乱の舞台になった笠置山

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鎌倉時代後期、「元弘の戦乱(元弘元年8月)」で挙兵した後醍醐天皇が、側近とともに都を逃れて身を寄せたのが南山城の笠置山。

追う幕府側は75000もの兵を送って笠置山を包囲。天皇側の兵は3000余名と、圧倒的に不利な戦いでしたが、非常に険しい地形の笠置山は要害の地で、約1カ月に渡って善戦しました。しかしながら、山に火をかけられて全山が焼亡。あらゆる堂塔が灰燼と化し、帝は捕らわれて隠岐の島へと流されます。そんな歴史を秘めた笠置山に登ってみることにしました。

JR関西本線笠置駅を起点に山頂を目指します。駅から10分ほどの登山口から、急な坂道を登ること小一時間。お寺の門前で一匹の猫さんがねむたそうに出迎えてくれました。

猫

笠置山には、かつて「かさやん」と呼ばれて親しまれていた猫がいたそうです。参拝者の案内をする勤勉な猫さんだったそうですが、令和のかさやん?は、ずいぶんのんびり屋さんみたい。

山上エリア一帯は巨岩ワールド

急峻な斜面に囲まれた山上部は、比較的なだらかな地形になっているのですが、びっくりするようなサイズの巨岩があちこちにそそりたっています。本堂から続く修行のコースを進んでいくと、最初に出会うのがこの岩。

巨岩1

飛鳥時代、天智天皇の皇子がこの山に鹿狩りに訪れたときのこと。乗っていた馬が巨岩の上から落ちそうになったのですが、皇子が一心に祈ると仏が表れて危機を救ってくれたとか。恩返しとして、仏の姿を石に刻むことを約束し、目印にかぶっていた笠を岩の上に置いたことから「笠置山」の地名が付いたと伝わっています。

巨岩と十三重の石塔

「文殊」「薬師」と呼ばれる二つの巨岩と、その上に丸い岩が架け橋のように微妙なバランスで乗った、不思議な姿をしています。その隣にあるもうひつの巨岩には摩崖仏が彫られています。

摩崖仏と正月堂

高さ15mもの巨大な岩の壁面に、弥勒菩薩立像が刻まれています。古代人の技術力で彫ったとは考えにくいことから、「天人の作」と言われているそうです。元々は、もっとくっきりとした姿だったそうですが、戦火を受けて岩の表面が変質し、お姿がはっきり見えなくなってしまったそう。
この弥勒磨崖仏が笠置寺の御本尊で、おがむためのお堂が正面に建てられています。「正月堂」と呼ばれていて、東大寺の「お水取り」の発祥の地とされています。(ちなみに、お水取りは東大寺の「二月堂」の行事で、東大寺には二月堂・三月堂はありますが、正月堂はありません。)

この弥勒磨崖仏は国内に現存する最大級の摩崖仏だそうですが、先へ進むと、もうひとつ巨大な摩崖仏が現れます。

虚空蔵石

こちらは、虚空蔵菩薩を刻んだもの。弥勒摩崖仏と同時代のものとも、平安時代のものとも言われていますが、こちらには建物がなかったため、戦火の影響を受けることなく、原形をとどめているのだとか。くっきりとした線刻で、仏さまのお姿がはっきりと浮かび上がっています。
虚空蔵菩薩さまは知恵を授けてくださる仏さま。「これ以上ボケませんように」とお祈りしておきました(え? それは〝知恵〟とは関係ないって?)。