起伏に富んだ日本は、国土の7割以上が山間部。日本各地に数多くある山のなかでも、「日本三名山」として括られている山があります。この三名山は日本三霊山ともいわれ、古くから山岳信仰の対象になってきた格の高い山。「富士山」は誰もが知る三名山のひとつですが、他のふたつは意外に知らない人も多いのでは? 今回は、そんな日本三名山についてご紹介しましょう。
世界遺産にも登録された日本一の山「富士山」
古くは「万葉集」から歌として詠まれ、1200年以上前から人々の心を掴んできた「富士山」。古典作品の「竹取物語」をはじめ、葛飾北斎「冨嶽三十六景」などの絵画作品、夏目漱石などの文学作品のなかでも富士山が描かれています。雄大で優美な富士山の姿が、芸術家たちに多大なインスピレーションを与えてきたことがわかります。

また、富士山が日本の象徴たる所以は、その美しさだけではありません。富士山は日本最大の活火山でもあります。人々は太古から、噴火する富士山に神の姿を重ね、信仰の対象として崇め畏怖してきました。2013年には富士山の「信仰の対象と芸術の源泉」としての文化的価値が認められ、世界文化遺産に登録されています。

加賀、越前、美濃で古くから信仰されてきた白山
富山県・石川県・福井県・岐阜県の4県にまたがった、白山国立公園内にある「白山」。標高2,702mの御前峰、2,677mの剣ヶ峰、2,684mの大汝峰の「白山三峰」を中心とした山脈の総称です。登山道が綺麗に整備された山ですが、「花の百名山」にも選ばれるほどの豊かな自然も魅力のひとつ。

古くから生活に不可欠な水をもたらしてきた白山には、長い信仰の歴史もあります。平安時代には、加賀国(石川県)・越前国(福井県)・美濃国(岐阜県)のそれぞれに信仰の拠点が生まれました。極楽浄土に見立てた御前峰山頂には、「白山神社奥宮」が鎮座しています。
