持ち手のキュッとした曲りがなんとも美麗で、大仏さまの頭の様なボツボツのアラレが愛らしい南部鉄瓶です。盛岡・南部藩の釜師が茶道の湯釜にそそぎ口と持ち手をつけたのが始まりなのだとか。いつかは欲しい! と考えていた南部鉄瓶ですが、2025年の年初に中川政七商店で購入しました。使い始めて半年が経ち、ほぼ毎日お湯を沸かしています。
慣らしが必要な南部鉄瓶は白い湯垢が出たらベスコン
購入したのは及源(おいげん)鋳造の南部鉄の鉄瓶「観月アラレ1.2L」です。デザインも美しく、個人的にはデンマークで誕生したハンス J. ウェグナーの椅子、ワイチェアに似て見えます。曲げ木で作られた背もたれの曲線と南部鉄瓶の持ち手がとても美的です。

及源鋳造の南部鉄瓶を購入するまでは毎朝キャンプでも使うモンベルのヤカンを使ってお湯を沸かし、コーヒーを淹れていました。購入後は南部鉄瓶に選手交代。白湯を飲んだり、豆を挽いてハンドドリップしたコーヒーを飲むのが朝の習慣になりました。

キャンプで使うダッチオーブンやスキレットと同じで、南部鉄瓶も使い始めは慣らしが必須です。まずは、水やぬるま湯で中を軽くすすぎ、水を入れて沸騰したら、お湯を捨てを3回ぐらい繰り返して慣らします。

使い始めて数日経つと白い湯アカになります。湯アカが内部を覆ったらベストコンディションとなります。使い始めて半年で、筆者がやってしまった失敗から学んだ注意すべき点がいくつかあります。

ミトンを使った湯切りを厳守
キャンプでダッチオーブンやスキレットを扱う時と同様で、鍋つかみのミトン(必ず両手)を使う必要があります。いつものヤカンのつもりで蓋や持ち手を持つと火傷します。鉄瓶本体もアツアツなのでご注意ください。何度かアツい失敗をすると学習します。

さらに当たり前ですが、湯沸かし中は南部鉄瓶から離れてはいけません。ちょっと隙を見せてキッチンを離れて空焚き体験をした筆者は、肝に銘じてキッチンから離れないことを徹底しています。
日々のお手入れとしてはサビの原因になるので湯を残さずにすべて使い切ります。水を入れたまま放置するのは厳禁です。使用後はフタと本体を逆さまにして、風通りのよいところで自然乾燥させます。水しか使わないので洗う必要はなく、水分を飛ばすだけでOKです。鉄瓶の中は絶対に洗わないこと。また体験的に注意すべき点の最後は水を入れすぎないことです。

1.2Lの小ぶりの南部鉄瓶はそそぎ口の下あたりまで水を入れて沸かすといいようです。だいたい0.6Lぐらい。いっぱい入れると沸騰した時にそそぎ口からお湯が溢れます。ちなみにコーヒーを入れるときは沸騰させないお湯の方がいいようです。あれこれ、注意点ばかりですが、ほぼ毎日使って半年。使い勝手はとてもいいです。

鉄瓶で沸かしたお湯のミネラルが健康の素に!
鉄瓶で沸かしたお湯には鉄に含まれているミネラル分が溶け出しているそうです。南部鉄器から摂取できる鉄分は吸収率のよい2価鉄とか。食べ物に含まれる鉄には肉や魚に多く含まれる動物性の2価のヘム鉄。野菜などに多く含まれる植物性の3価の非ヘム鉄の2つの種類があり、鉄分補給の観点からみると南部鉄器から多く溶出する2価鉄は、3価鉄に比べて約5倍から7倍も吸収率が高いそうです。

鉄分を摂取すると細胞内でエネルギーを作り出すためのミトコンドリアが活性化して、心臓の機能が高まって老化した心臓も若々しく保たれるとか。南部鉄瓶を使うといいことがいっぱいですね。