脱水症にならないための豆知識をお伝えしてきましたが、それでも脱水症になってしまった場合にどうすればいいのでしょうか。脱水症になっているかどうかの判断は難しいのですが、暑熱環境下で歩いていたり、激しい運動をしてたくさん汗をかいたりしたときに、口やのどが渇いた感じがする、トイレに行きたくならない(行っても尿量が少ない)、頭痛や吐き気がする、気分が悪くなったりふらついたりする、といった場合は脱水症になっている可能性があります。
足がつったりするのも脱水が引き金になっていることが多いようです。とある年の、じめじめとした梅雨時のことです。ふだん、とても元気なOさんが、急に立ち止まって足を押さえています。どうしたのかと思ったら、こむら返りになって、ふくらはぎに激痛が走ったのだとか。

メンバーの中に、よく足がつる人がいて、市販の漢方薬を持っていたようで、
「これ、飲みますか?」と声をかけていました。
漢方の「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」がこむら返りによく効くと言われているのです。ツムラの「68番」、小林製薬の「コムレケア」などの製品があり、念のため携行しておくと安心ではあるのですが、こむら返りはそもそも脱水が引き金となっている可能性が高いので、まずは水分摂取がマストです。
【注意】医薬品の譲渡について
処方薬は、他人に譲渡することが法律で禁じられています。ドラッグストアで販売されている薬でも、「要指導医薬品」は本人のみが使えるものです。誰でも購入できる一般的な市販薬であっても、漢方薬は人によって合う・合わないがあります。また、ほかの薬を服用している場合、「飲み合わせ」の問題があるので、原則として薬は他者に譲るべきではないと思います。
処方薬では、「芍薬甘草湯」や「モーラステープ」などがよく登山者同士で譲ったり譲られたりしているようです。しかし漢方薬の場合、市販薬とはエキス量が違うものもあるので、たとえ善意であっても、譲渡はNGです。その話が出たときに、薬剤師の方が「薬は飴ちゃんと違うんやで!」と叫んでいました。心配な方は自分で購入して携行してくださいね。

脱水症と思われる症状が出たときは
気温の高い季節は、できれば木陰などの涼しいところ、風通しのいい場所で休んで、まずはしっかりと水分補給をしましょう。摂取する水分は、ふつうの水やお茶でも構いませんが、発汗量が多いときなどは、電解質を含んだ飲料の方が効果的です。
市販のスポーツドリンクでもいいですし、経口補水液だとなおいいと思います。
食欲があって、行動食を摂取できる状態なら、塩分を含んだ食べ物と水分を同時に摂れば、特殊なドリンクを摂る必要はありません。夏場はミネラルを含んだ麦茶などを携行するのもいいですね。
