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伊豆の海をひと飲みする大草原! 山頂に居並ぶ大風車群が圧倒する三筋山を歩く

楽しい外遊びはソトラバで。アウトドアWEBメディア Soto Lover


スタンダードな山岳風景とは一味違う景観が、静岡県東部の賀茂郡東伊豆町と河津町の境にあります。この山は三筋山(みすじやま)と言い、標高821mの低山です。そしてその山頂には巨大風車が列をなします。

海のイメージが強いが太古の地殻変動が生んだ山地帯

伊豆の成り立ちそのものが日本列島形成に大きく影響した、というジオグラフィカルな話をざっくり短縮してしまいますが、太平洋上にあった伊豆の原型となる火山島などが日本列島に激突し、約60万年前に伊豆半島が形成され、今の日本列島が形作られたのだそうです。伊豆半島が日本の山岳シーンにおいて特異な地質形成をしている理由でもあります。

ひと口に伊豆というと海のイメージが強いかと思いますが、じつは伊豆半島の大半は山地で成り立っています。海岸線ドライブで人気ですが、意外に山肌が海岸に迫っているところが多いですよね。

伊豆半島の付け根にあたる神奈川県湯河原町・幕山にはじまり、静岡県熱海市の十国峠〜玄岳、西側は同県沼津市の沼津アルプス〜発端丈山の伊豆三山、そして金冠山〜達磨山。

さらに南下すれば百名山の天城山が峰をつなぎます。三筋山は天城山の南直下に探すことができます。天城山を除いてはいずれも数百mほどの低山ですが、首都圏ハイカーには1年を通じてハイキングを楽しめる名峰たちです。

高原帯に聳える三筋山頂へは直登・周回などルートも多様

三筋山一帯は別名・稲取細野高原とも呼ばれる壮大な広さの高原が広がります。国道135号線稲取海岸から山間の住宅街を抜けた先に舗装路は続きます。キャンプ場脇を通過し、比較的整地されたアスファルト道の終点と思われるところに第1駐車場とトイレがあります。

駐車場からすでに陽光きらめく太平洋を認識します。背後に広がる約125ヘクタールの高原は東京ドーム26個分だそうです。そして南北に巨大風車が屹立して連なり、壮大な景観を披露してくれます。

駐車場からは山頂へ2ルートがあります。一つは荒れた舗装路を目印に桃野湿原へ向かうコース。もう一つは渡橋から中山湿原と芝原湿原を迂回するコースです。いずれも三筋山山頂直下で合流します。

また中山湿原、芝原湿原ともに湿原植物の宝庫でもあるので、草花を探しながらの散策も楽しめます。第1駐車場ベースで登り約1時間半、下りで1時間弱の目安です。

また、三筋山は花の百名山にカウントされています。ヤマアジサイの仲間となるホソバコガク(アマギアマチャ)を見ることができるそうですが、あいにく訪れた日は時期的に出会えるタイミングではありませんでした。人気アニメのゆるキャン△でも、この山が取り上げられています。