夏山本番を迎え、すでに山行プランを立てている登山愛好家の方も多いと思います。憧れの日本アルプスと並ぶ人気の山系といえば、やはり八ヶ岳といっても差し支えないでしょう。とりわけ首都圏ハイカーには中央自動車道で小淵沢I.C.から南八ヶ岳へ乗り入れやすく、南アルプス山系の鳳凰三山と並んでアクセスに恵まれたゾーンかと思います。そこで注目なのは、南八ヶ岳の人気バリューセットな縦走です。
地域最大級の駐車スペースも週末は大激戦の観音平
今更ではありますが、八ヶ岳はその名を特定する名称ではなく、山梨県・長野県にまたがる山域の総称で、主峰は標高2899mの赤岳です。

八ヶ岳は山域中央の夏沢峠を軸に多くは北側は蓼科山までを北八ヶ岳(一部には北横岳までという向きもあります)、南側を編笠山までの範囲で南八ヶ岳と呼んでいます。

ザックリではありますが、八ヶ岳は南北で異なる山容を披露するのが特徴かと思います。北八ヶ岳は山頂部は比較的なだらかな峰々が多く、南八ヶ岳は切り立った岩峰が多く見受けられます。また南北どちらにしても、登山口に収容台数豊富な駐車場を擁していることもあって、同山域の人気の理由でもあります。

そこでもっとも南側になる八ヶ岳オールスターの2座に注目します。編笠山と権現岳です。それぞれ単座登頂の魅力は持ち合わせていますが、スキルアップを目指す愛好家の方々には編笠山と権現岳の縦走も人気です。編笠山と権現岳を結ぶ登山道鞍部に青年小屋という宿泊小屋とテント場が用意されているので、山中泊の楽しみもあれば、日帰り縦走も可能という山行計画の楽しみも加わります。

ここでは観音平駐車場から雲海〜押手川〜編笠山頂〜青年小屋〜西ギボシ〜東ギボシ〜権現岳〜三ツ頭〜観音平の周回コースを取ります。観音平駐車場は第1、第2が隣接し、合計約70台からが駐車可能と同地域でも最大級の駐車場です。それでも夏季週末は駐車場から溢れて路上駐車が列をなすそうです。

360度の大パノラマは八ヶ岳オールスターを一望に!
同駐車場には簡易トイレが設置され、登山ポストも用意されていますので、登山届提出の遺漏なきようにしましょう。登山道はしばらくはゆるい斜度で進みます。ほどなく進んで休憩ポイントになる雲海です。東側に開けた眺望ポイントで、ベンチとテーブルが置かれています。

雲海から編笠山は徐々に八ヶ岳らしさをむき出してきます。岩場を縫うように高度を引き上げ標高2000mを超えて押手川の分岐ポイントにたどります。

押手川からは急登が連続します。森林限界になり、それまで頭上を覆っていた樹木から空が広がれば、山頂は目の前です。ただし足元はいきなり石積みの岩場です。

編笠山の山名の由来は文字通りに編み笠を伏せたようななだらかな山頂(標高2524m)ですが、南八ヶ岳の主役の一座にふさわしい足もと要注意のゴツゴツした岩場です。晴れていれば360度大パノラマの絶景が待っています。

東側に富士山。南から西に南アルプスが峰先を連ねます。間ノ岳、北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳の3000m級が姿を見せます。北側には八ヶ岳の主峰・標高2899mの赤岳から阿弥陀岳、横岳、天狗岳、北横岳、そして蓼科山がChoo Chooトレインよろしく並んでいます。

編み笠山頂で絶景時間を堪能した後は北側の鞍部に立つ青年小屋を目指して下ります。大きな石のペンキマークを追いかけて慎重に下ります。青年小屋は「遠い居酒屋」の二つ名を持つ超個性的な小屋で、入り口には実際に赤提灯がぶら下がっています。
