登山の際に、「日帰り登山だからライトは不要」とか「スマホのライトがあるから大丈夫」なんて思っている人は多いのではないでしょうか? 実はヘッドライトはアウトドアで安全・快適に活動するうえで欠かせない必須アイテムなのです。では、登山に行くときはどんなライトを持って行ったらよいのでしょうか。そこで、登山のベテランであるアルペントーキョーの鈴木正志さんに、ヘッドライト選びのポイントを教えていただきました。
登山では頭部に装着するヘッドライトを選ぶこと
いざというときの明かりとして、スマホのライトを頼りにしている人は多いかもしれません。ただし、「登山のときにスマホのライトを頻繁に使うとバッテリーが減ってしまい、肝心の通信機能に影響を与えるおそれがあります」(鈴木さん)。そこで用途に合わせたライトを用意する必要があります。
鈴木さんいわく、登山に向くライトとして「頭部に装着するヘッドライトがおすすめです」と言います。「というのは、登山のときは両手を空けておくためです」(鈴木さん)

コンパクトなライトとしてはハンディタイプも思い浮かびますが、登山ではヘッドライトの方が断然使い勝手がいいのです。
日帰り登山なら必要な明るさは200~300ルーメン
選択するうえで気にするべき一番のポイントは、メインライトの明るさです。ヘッドライトの明るさは、「ルーメン(lm)」という単位で表されます。これは、数値が大きいほど明るくなります。
「目安としては、日帰り登山なら200~300lmあればいいでしょう」(鈴木さん)。このレベルの明るさがあれば、足元や周囲をしっかりと照らすことができます。一方で、夜間登山で使うなら300lm以上、サブ用に準備しておくなら100lm程度などと言われています。

赤色ライトの機能や使い勝手もチェック
多くのヘッドライトには、白色ライトのほかに赤色ライトが搭載されています。赤色ライトは、一般的には“緊急時用”といったイメージがありますが、アウトドアではいろいろと活用できるそうです。
「たとえば、山小屋泊やテント泊をしている際、自分の周囲を照らそうとすると白色光ではまぶしいですが、赤色光を使うとまぶしさを感じにくいんです」(鈴木さん)。トイレに行くときや、手元のものを確認したいときなど、周囲に迷惑をかけることなく、確実に照らせるわけですね。

このほか、虫が寄ってきにくいといった利点もあるため、釣りなど夜間に行動する場合にも適しています。もちろん、赤色光が点滅するなどエマージェンシー用の機能も搭載されています。暗い場所でスムーズに使えるかどうか、使い勝手をチェックしておきましょう。
バッテリーは乾電池式と充電式の2択
次にチェックしたいのが、バッテリーと重さです。使用するバッテリーの種類によって重さが左右され、それによって装着感も変わってきます。
ヘッドライトのバッテリーには、大きく分けて、乾電池式と充電式の2種類があります。乾電池式は電池が入手しやすく、交換も簡単なので手軽に使えます。予備電池を用意しておけば、長時間使用もOKです。ただ、「乾電池の種類や本数によっては、本体が重くなってしまうので注意しましょう」(鈴木さん)

一方の充電式は、リチウムイオンバッテリーなどが使用されます。比較的軽量で、繰り返し充電して使えるため、経済的とも言えます。ただし、容量がなくなったとき、充電をしなければ使えませんし、状況によってはすぐに充電ができない場合もありえます。そういったケースも想定しておくことが大切ですね。もちろん、モバイルバッテリーは必須です。