すれ違い時のお互いの位置関係について
登り、下りのどちらが譲るにしても、位置関係は「譲る側が安定している安全な位置でじっとしている」のが原則です。斜面に対して水平な道だとすれば、譲る人が山側、動く人が谷側。垂直に登る道なら、より足場が安定している側が譲ります。
すれ違いのときに、相手のバックパックなどが当たって、バランスを崩すというようなリスクがあるからです。ガケ側に立っているときにぶつかられたら、足を踏み外して落ちるかもしれません。必ず、譲られる側が相手にぶつからないように注意深く動いて、譲る側は、できればしっかりとした木や岩角につかまるなど、安全確保を確実にしましょう。

すれ違いで一番怖い思いをしたのは、残雪期(GW)の槍ヶ岳。肩の小屋から穂先へ登って、下っているときのことです。登ってくる人がいたので、原則通り山側の斜面に身を寄せて、登る人をやり過ごそうとしていました。
登ってきた人は「ありがとう」と言いながらすれ違おうとした瞬間、バランスを崩したのか、私の足をつかんだのです。こちらはしっかりと岩角をつかんでいたから、大丈夫だったのですが、安定の悪い体勢だったら、一緒に滑落していたかもしれません。山では、基本ルールを踏まえた上で、臨機応変な判断と互いの配慮で、安全登山を楽しみたいものですね。
