ソトラバ

普段から身に付けてる“イヤホン”もNG!? 山行時は控えたいラジオや音楽の聴取で危険に晒されることも

楽しい外遊びはソトラバで。アウトドアWEBメディア Soto Lover

  • 岩稜帯
  • 沢
  • 森の径
  • 重太郎新道
  • 携帯ラジオ

登山の世界には街中で過ごしているときとは違う、独自のルールやマナーがいろいろあります。ビギナーさんのなかには、「なんでそうなの?」という疑問を持つ人も少なくないでしょう。そんな〝山のルールやマナー〟に関して素朴な疑問なども含めて解説します。

山行時の仲間たちとの挨拶は積極的に!

「登山者同士はみんな仲間? 山で出会った人にいちいちあいさつをするのはなぜ?」で、すれ違った人にあいさつをする意味について書きました。筆者は基本的には自分から積極的にあいさつをするようにしていますが、たまに「こんにちは!」と言っても無視されることがあります。
相手がきつい登りのときだったら、「しんどくて返事もできないのかな」と思ったりもしますが、平坦な道でお返事がないと、ちょっと残念な気持ちになることも……。

そういう人は、わりと年配の方が多い印象で、ついつい心の中で「イマドキの中高年はマナーがなってない!」と毒づいたりもするのですが(自分も中高年ですが)、もしかしたら耳が遠くて聞こえていないのかな? でも、先日、さわやかに返事を返してくれそうな雰囲気の、若い方に思い切り無視されました。ざんねんっ……。ふと見ると、耳からうどんが垂れてました。もとい、ワイヤレスイヤホンをつけておられて、聞こえなかったようです。

山での行動中に音楽はNG

どこにいてもお気に入りの音楽を離せない……という人もいるかもしれませんが、登山中はNGです。聴覚は、周囲の状況を把握するための重要な要素です。山では、周囲にいろんなリスクが潜在しているので、つねに感覚を鋭敏にしておかなければいけないのです。落石、動物などの接近、雷鳴、増水の音……。

とくに、イヤホンで耳をふさいでいる状態だと、そもそも歩くことに集中できません。山を歩くときは、風の音やせせらぎの音、鳥のさえずりなどの自然に癒されるものですが、まわりの音に耳を澄ませることは、降りかかるリスクを素早く察知することにもつながることなのです。

ラジオを鳴らすのはオッケー?

ところで、昔からソロの登山者でラジオを鳴らしながら歩いている人がけっこういます。ほとんどが年配者ですが。(筆者はやってません!)

携帯ラジオ

クマよけの意味もあるのかもしれませんが、自然の中で人工的な音声が流れていると、筆者はなんだか落ち着きません。ラジオを鳴らしておくと、雷雲の接近を知ることができるという面もあるのですが、できれば小さめの音でお願いします。イマドキは、スマホのアプリで「雷アラート」というのもありますので……。

また、クマ鈴も、必要のないときは音が出ないようにしておいてくださいね。クマなんかそもそも生息してない六甲山で鳴らしてるヒト、たまにいますけど……。(なんでやねん!)

トレッキングポールも使っちゃいけない時がある

歩行時に手足をフルに活用できるトレッキングポールは、愛用している人も多いと思います。ひざに不安をかかえている人には必須の装備かもしれません。筆者は、基本的にふだんの登山では使用しないのですが、念のため常に携行はしているし、長距離を歩かなければいけない、ややハードな計画のときには使うこともあります。

しかし岩稜帯など、手を使わなければならない場面では、むしろ邪魔で危険です。たとえば、穂高のザイテングラートとか、重太郎新道のようなところ。こういう場所では、トレッキングポールは使えませんよね。

重太郎新道

ほとんどは、ふつうの二足歩行でいけるけど、ときどき短い梯子があったり、ほんの数歩だけ手を使って登るというような場面では、リストバンドで手首にぶらさげておいて登る、ということもありますが、本格的な岩稜帯に入るような場合には、取りつく前にたたんでバックパックの中に入れてしまった方がいいと思います。

岩稜帯

また、一時的に不要なものは、バックパックのサイドポケットに入れるという方も少なくないかもしれません。トレッキングポールも、サイドポケットに突っ込んでいる人をよく見かけますが、バックパックにモノを外付けすると、岩角や木にひっかかったり、すれ違った人に当たったりすることもあるので、危険な場所ではやめたほうがいいです。

穂高連峰の難所として知られるザイテングラートでは、過去にバックパックのサイドポケットに入れていたペットボトルを落とした方がいて、下の方にいた人にそれが当たって滑落事故になった事例もあります。