秋になると公園などで見かけるドングリ(団栗)は、ブナ科の樹木の果実の総称で、在来種だけでも22種ほどあり、地方によっても見られる種類が少しずつ違います。ドングリの種類などを気にする人は多くないのではないでしょうか? しかし、見分け方を知ることで見え方が異なってきます。今回は、季節の便りひとつであるドングリをもっと楽しむために、主な種類と見分け方をご紹介します。
ドングリの見分け方とは
ドングリは、大きく分けて「堅果(けんか)」と「殻斗(かくと:帽子やパンツ、お椀と呼ばれることもあり)」という2つの部分で構成されています。殻斗には4種類あり、ウロコ状、横シマ、トゲトゲ、すっぽりと覆う寝袋タイプに分かれます。ドングリは、この殻斗の模様と形、そして葉と、樹木の組み合わせで見分けていきます。

日本の雑木林を代表するドングリ【コナラ】
本州に広く分布し雑木林の代表的な樹木で、ドングリを実らす木としては最も多く見られる木です。カブトムシやクワガタが集まる木です。木材は薪、炭の原料、シイタケ栽培の原木として利用されます。
ドングリは、細長い楕円形で、帽子は瓦のようなうろこ模様です。葉は先端から1/3ほどの所から広がり、縁はギザギザした鋸歯(きょし)があります。樹皮は灰色で裂け目が入ります。クヌギとよく似ていますが、クヌギより白っぽいのがコナラです。

トゲトゲの帽子が目印【クヌギ】
コナラと並んで雑木林に多く、カブトムシやクワガタが集まる木としても有名なクヌギは、しいたけ栽培の原木に使われたり、薪や家具にも使われます。トゲトゲの殻斗が目印の大きなドングリをつけます。葉は細長い楕円形で縁はギザギザした鋸歯があります。樹皮は厚く、縦に深い裂け目があり、コナラよりやや黒く、ボコボコも少し小さめです。



関西ではお馴染みのドングリ【アラカシ】
とくに西日本でよく見られる常緑広葉樹で、高知県の一部ではカシ豆腐(かしきり)という伝統食品の原料として利用されます。またカシの仲間の木は硬いため、アラカシも農具や餅つきの杵などに使われます。アラカシのドングリはコナラより少しぽってりと丸みがあり、縦縞が入ります。一方殻斗にはうっすらと横縞が入ります。葉は照葉で濃い緑で長めの楕円形でコナラほどではありませんが、葉先の幅が少し広く鋸歯があります。樹皮は灰色~暗黒緑色でザラザラしています。裂け目はなく、少し横縞や凹凸が出る程度です。


