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絶対にしてはいけないNG行動! 山で出逢ったカワイイ鳥や動物に行動食をおすそ分け

楽しい外遊びはソトラバで。アウトドアWEBメディア Soto Lover

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オフィス街の公園を歩いていたら、ハトにエサをやってる人がいました。ランチのパンを食べながら、ちいさくちぎっては投げ、ちぎっては投げ。彼の足元にはハトやスズメがたくさん集まってきて、しきりにつついて食べています。中には、慣れているのか、手のひらに乗せたエサを直に食べさせている人も……。ご本人たちはとても楽しそうなんですけど、その行為、NGです。

海辺を散策していたら、ウミネコがたくさん舞い飛んでいました。どうやら、エサを投げる人がけっこういて、それを狙って集まってくるみたいです。ポップコーンを手にした観光客が、それっとばかりに空高く投げると、見事に空中キャッチ! 素晴らしい!……じゃなくて、その行為、NGです。

人間の餌付けダメ絶対

何を隠そう、筆者は小学生時代に友達数名と「野鳥を愛する会」を立ち上げました。なけなしのおこづかいを出し合って、ペットショップで小鳥のエサを買うのです。近所の児童公園でそれを撒いて、スズメを寄せ集めて喜んでいました。カワイイ小鳥たちが、自分たちが蒔いたエサを食べてくれるのはとても楽しかったです。でも、その行為今となってはNGです。

もう時効になってるとは思うけど、今にして思えば恥ずかしい黒歴史……。街中と違って、山ではふだんは逢えないような珍しい生き物に出逢うことがあります。親子で歩く姿が微笑ましいライチョウ、ポーズがキュートなオコジョ、お洒落な羽毛をまとったホシガラス。

過酷な山の環境で生き抜くのはたいへんそう。持ってる行動食のかけらをちょっとだけあげようかな……なんて思ったことのある方! 絶対にNGです!

家畜やペットと野生動物は全く違う存在です。人間が餌付けをすることは、彼らにとって決していいことではありません。依存するようになると野生に戻れなくなるし、何より、自然の中でたくましく生きている、野生の尊厳を冒涜する行為にほかならないと思います。

人間の食べ物には抗いがたい魔力がある

野生の生き物は、鳥も、動物も、昆虫も、そして植物、目には見えない菌類まで、その環境に生きるすべての存在が複雑に関わり合いながら、生態系を形成しています。食うもの、食われるもの、死んだ生き物を分解するものなど、それぞれが相関し合って、その環境に適応して生きているのです。

人間が、本来そこにないものを持ち込むことは、そのデリケートなバランスを崩す原因となってしまうのです。とくに、人間の食べ物は、野生生物にとっては〝禁断の果実〟。原料が何にしろ、自然界にあるものと異なり、精製度が高く、食べやすい。しかも甘みや脂肪分を多く含んでいるものが多いのです。

自然界には存在しない、そのようなものを口にすることは、野生生物にとって決してよいことではありません。(メタボにもなる?)

野生動物に餌付けをするということ

今年、各地でクマ被害が続出しています。いろいろな要因があるようですが、ひとつには人間との距離が近くなってしまったことが大きいと言われています。

もう何年も前から、中山間地にある限界集落などで、庭に植えられている柿の木を餌場とするようになったり、畑の作物を食べるようになったりということが全国的に問題になっていました。

初めは、人を恐れて近づかなかった野生動物が、次第に慣れてくると、人間が怖い存在ではなくなってきて、「アーバンベア」と呼ばれるようになります。

そして、今年各地で起きているような、街中を徘徊したり、民家に侵入したりすることが、クマにとってふつうのことになりつつあるのかもしれません。

羅臼岳で起きた痛ましい死亡事故も、駆除されてしまったヒグマは、元々は「岩尾別の母さん」と呼ばれていた、温厚な性質の個体だったとか。それがいつしか、人を見ても逃げないようになっていたのです。

北海道では、過去にも、観光客がソーセージを投げ与えたことがきっかけで、人の近くに出没するようになって有害獣駆除されてしまったヒグマの例がありますが、野生動物と人との距離が縮まることは、双方にとって悲劇的な結末につながります。

そして、「ヒトはエサをくれる存在」「ヒトはエサを持っている」ということを学習し、やがて「ヒトは補食対象」という認識に変わっていくのだとしたら……。

クマ鈴なんて持っていたって意味がないということになります。