ヨチヨチと歩いて、おっとりしているように見えるペンギンですが、実はとても活発な生物です。よく見ると、目も「やる気」がある感じがします。コロニーで集団生活をするので、人間だったらすぐにもめごとが始まりそうですが、ペンギンは怒ったりケンカしたりするのでしょうか。
人間からしてみるとちょっと不思議な生き物の姿や、ちょっとへんだけど魅力的な姿を紹介する「へんないきもの」シリーズですが、今回はペンギンのケンカについて、長崎ペンギン水族館の飼育展示課ペンギンご担当梶原貴登さんに話をうかがいました。
小さいケープペンギンが怒って追いかけまわした相手とは?
かわいくてのんびりした印象のペンギンですが、ケンカをすることはあるのでしょうか。
「種類でも差がありますし、野生と飼育下ではまた違うのですが、長崎ペンギン水族館のペンギンはおだやかな子が多いですね。ただし、やはりケンカをすることがあります」(梶原さん)。
梶原さんは、怒ったペンギンが、ほかのペンギンを追いかけまわす姿を見たこともあるそうです。
「予備飼育室という体調の悪い子を飼育する部屋があるのですが、そこでは日ごろは別々の部屋で飼育される異なる種類のペンギンも一緒に過ごします。あるとき、体の小さいケープペンギンが自分より一回り大きなフンボルトペンギンを追いかけまわし始めたんです。急いで引き離しました」(梶原さん)。
小さい体のケープペンギンが懸命に大きなフンボルトペンギンを追いかける姿は、本人(鳥)たちは真剣だとしても、ちょっとかわいく感じてしまいますね。

【DATA】
ケープペンギン
学名 Spheniscus demersus
分類 ペンギン目ペンギン科ケープペンギン属
分布 アフリカ南部・ケープ地方

【DATA】
フンボルトペンギン
学名 pheniscus humboldti
分類 ペンギン目ペンギン科ケープペンギン属
分布 チリ、ペルー
固いフリッパーが武器。叩かれるとあざになることも
ところでペンギンは怒ったとき、追いかけまわす以外にどのような行動をするのでしょうか。
「フリッパーと呼ばれる翼で叩くんです。フリッパーのなかは骨と筋肉がつまっていて、とても固いんです。飼育員も怒らせると叩かれることがあります。餌が遅いとか、身体検査が嫌だとか、そんな理由だと思うのですが、叩かれるとすごく痛いです。あざになりますよ」(梶原さん)。
一般的に鳥類には空を飛ぶための翼がありますが、空を飛ばなくなったペンギンの翼はひれ状のフリッパーになりました。水の中で泳ぐのに適したものですが、怒った相手を叩く時にも使われるそうです。

ケンカが強いペンギンを2種類ご紹介
ところでペンギンは世界に18種類いるそうですが、どのペンギンが強いのでしょうか。住んでいる環境や個体ごとの性格もあり一概には言えないものの、あくまでも予想で「ケンカが強そうなペンギン」と「攻撃的なペンギン」について、梶原さんに教えてもらいました。
大きさで圧倒する「キングペンギン」と小さいのに強い「コガタペンギン」
「体の大きいペンギンはやはり強いでしょうね」と梶原さん。
長崎ペンギン水族館で体の大きいペンギンというとキングペンギンがいます。
「キングペンギンの性格はおだやかですが、体が大きいので、本気でケンカしたらやっぱり強いのではないでしょうか。フリッパーで叩かれたら、相当痛いと思います」(梶原さん)。
一方、一番小さいコガタペンギンもなかなか攻撃的なのだとか。
「油断するとフリッパーでぺしっとやられます(笑)」(梶原さん)。
コガタペンギンはオーストラリアなどでも会えることがあるそうなので、いざというときはお気をつけください!

【DATA】
キングペンギン
学名 Aptenodytes patagonicus
分類 ペンギン目ペンギン科オウサマペンギン属
分布 南インド洋、南大西洋、南極海の島々

【DATA】
コガタペンギン
学名 Eudyptula minor
分類 ペンギン目ペンギン科コガタペンギン属
分布 オーストラリア、ニュージーランド

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