近年、猛暑日が続くことが多いため、テレビのニュースなどでも「脱水症」という言葉を聞くことが増えてきましたね。気温が高い時期には、脱水症にならないように、こまめに水分補給をしなければいけないということは誰もが意識していると思います。

しかし、「脱水症」とは具体的にどんな症状で、どんなときになりやすいのか、詳しく知っている人はあまり多くないかもしれません。それどころか、自分が脱水症になっているかどうかの自覚がない場合もあります。冬など、あまり汗をかかないような季節に、知らず知らずのうちに脱水症になってしまっているケースを「隠れ脱水症」と呼んだりもします。
風邪にも似てる脱水症の症状
まだ寒い季節のことです。ビギナー向けの山歩き講座で、受講者の皆さんと山を歩いているとき。さほどきついコースでもないのに、なんとなくしんどそうな方がいました。

どうされましたか、とお声がけをしたところ
「なんだかだるくて、少し頭痛がするんです。もしかすると風邪をひきかけているかもしれません」とのこと。休憩の度に、水分補給をするように促していたのですが、「トイレに行きたくなると困るから……」とあまり飲んでおられないようでした。
脱水症の症状は多様なので判断が難しいのですが、水分をしっかり摂取していないときに、「なんとなく身体が不調」という場合は、脱水症の可能性があります。風邪の症状と似ている場合もあるのです。
【脱水症の主な症状とは】
・頭痛
・強い眠気
・食欲不振
・腹部の不快感や胃もたれ
・こむら返りや痙攣
・筋肉痛
冬場などには、あまり流れるような汗をかかないし、喉の渇きもさほど自覚しないものですが、案外「隠れ脱水症」になりかけているケースが多いような気がしています。とくに、性能のいい登山用のウェアを身につけていると、汗をかいてもすぐ乾くので、発汗している自覚はあまりありません。
さらに、身体から水分が失われるのは発汗だけではありません。
「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と言って、汗をかいていなくても皮膚表面から水分が失われていますし、呼気にも水分が含まれています。息が上がるような強度の運動をしているときは、相当量の水分が失われているはずです。

「不感蒸泄」は、健常な成人の場合、常温・安静時で1日あたり900ml程度と言われています。何もせずにじっとしていても、それなりの水分補給は必要なのです。