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トンネルの街「横須賀」観光地の観音崎にあるミステリアスな隧道を歩く

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海軍カレーネタなどで軍港イメージが強い横須賀ですが、一方でトンネルの多さで一部のトンネルファンに人気の聖地のひとつでもあるようです。国道16号沿いは、まさに隧道銀座。トンネルの先にトンネルが続きますが、その切っ先にある横須賀の人気観光地の観音崎にも、マニアックなトンネルが掘られています。

明るい装いの坑門隧道と隧道マニア垂涎の作りの隧道

観音崎にある隧道は県立観音崎公園及び観音崎灯台を目印に探ることになります。利便性が高いのは、公共交通機関利用ならJR横須賀線・横須賀駅とを繋ぐ京急バス路線で終点の観音崎バス停を下車、またはマイカー派には横浜横須賀道路・馬堀海岸I.C.下車国道16号で観音崎駐車場の利用がスタンダードになります。観音崎バス停は観音崎駐車場の目の前にあります。

車道を南下して観音崎自然博物館を目指します。最初に現れるのが観音崎隧道です。片側1車線道路は休日ともなれば多くのドライブ旅行のクルマが走り抜けます。

化粧煉瓦の貼られた明るいイメージの坑門は、まさに海岸ドライブにふさわしいものを感じさせますが、その歴史は華やかさとは縁遠いもので、観音崎に置かれた砲台への接続道路として密かに建設されたという出自があるそうです。

観音崎隧道の明るい照明の中を歩き抜けた先の左脇に分岐ポイントがあります。先に進むと観音崎灯台に通じ、逆にUターンで坂道を登ると観音崎公園内に接続します。

注目の隧道は、このUターンの坂道を進みます。園内散策路と海の見晴台を結ぶ園路に隧道が現れます。

28サンチ砲台への隧道と呼ばれるトンネルです。隧道表札はあいにく見当たりませんので、この説明調な名称が根付いたのでしょうか。

観音崎第三砲台通路として建設された小規模な隧道は、じつはトンネルファンにはたまらないつくりとなっているようです。内側アーチ部の小口積みに側壁や坑門に見られるイギリス積みレンガ、坑門アーチの積み上げにも珍しい手法が取り入れられているそうです。イギリス積みの内部が残る隧道は横須賀でも珍しいと言われているそうです。

同隧道の先は見晴台で行き止まりになっていますが、その出口先に坑門をデザインしたコンクリート壁があります。つなげる予定だったのでしょうか。

ただし、この裏側に回り込んだ先が見晴台で、出口に隧道らしき作りは見当たりません。

横須賀で最古のトンネルは素掘りの荒っぽさが魅力

28サンチ砲台への隧道から、先ほどの観音崎隧道出口に戻ります。車道を進んだ先左手に海辺の道の案内標識が立っています。

その標識の指し示す先をブロック畳の小径に従っていくと、比較的新し目のコンクリートの坑門が口を開けています。観音崎の浜辺の隧道と言います。

同隧道は市内最古のトンネルと言われています。入り口の造形からは最古とは思えませんが、隧道内に踏み入って、その理由がわかります。途中から先海辺側は素掘りです。

黒船襲来に備えて江戸幕府が隧道東側の鳶巣崎へ観音崎台場を移動させた際に兵員や弾薬の通路として素掘りしたものだそうです。荒っぽい素掘りの壁は魅了されます。台場の運搬の都合でしょうか、素掘り隧道としては意外に天井が高いのも特徴です。一見の価値があるトンネルですね。

トンネルを潜る前でも後でも真上にある観音崎灯台見学とセットにすると、当時の江戸(東京)防衛の戦略が垣間見える気がします。

実は、この近辺には他にも隧道がいくつかあります。園内にも小さな見るからに軍用と推察できるトンネルも残っていますし、3分間トンネルと呼ばれる素掘りの隧道もあるそうです。時間の余裕があれば、探してみるのも探検気分を高める要素ではありますね。