豊かな自然に囲まれ、水環境にも恵まれた日本。国定公園内や市街地の水が湧き出るところで、「名水百選」の看板や石碑を見かけたことはありませんか? 全国各地、さまざまな河川・湧水から選ばれた「名水百選」。近年は観光地として人気を集めている場所もあり、観光地部門や秘境部門など、ランキングもあるようです。どんな基準をクリアして名水に選ばれたのか、どんな場所が選ばれているのか、今回は「名水百選」を詳しく調べてみました。
「名水百選」はどんな基準で選ばれているの?
そもそも「名水百選」とは、水質保全への認識を深め、優良な水環境を積極的に保護することなどを目的に、当時の環境庁が昭和60年に選定しました。実は意外と新しいことに驚くかもしれませんね。

その選定基準は、水質・水量や景観の保全状況、地域住民による保全活動があるかどうかに加え、珍しさや歴史的・文化的背景など。ここで注目すべき点は、選定基準に「飲用できるかどうか」は入っていないことです。そのため「名水百選」に認定されているものの、なかには飲用水に適さない水源も。もし「名水百選」の水を飲みたい場合は、自治体に問い合わせたり、立て看板をよく確認するようにしましょう。
景色伝承、全国各地の名水百選の楽しみ方
「名水百選」として都内で認定された国分寺市の「お鷹の道・真姿の池湧水群」は、ホタル観賞や紅葉シーズンが人気のスポット。重い病に苦しんだ玉造小町が霊示を受けて、病から回復したとの言い伝えがあるそうです。

また、青梅市の「御岳渓流」では、秩父多摩甲斐国立公園でもとくに美しい清流を臨むことができます。両岸には約4kmにわたって遊歩道が整備されていて、四季折々の様相が楽しめる観光客に人気の場所。カヌーの聖地としても知られています。

他にも、北は北海道・利尻島の「甘露泉水」から、南は沖縄「垣花樋川(かきのはなひーじゃー)」まで。景色を楽しめるだけでなく、その地域の文化や言い伝えを知れるのも、「名水百選」の魅力と言えるでしょう。

