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たどり着けるかは運次第!? 究極の秘湯・野湯探検記 【vol.02】荒湯地獄/宮城県

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  • 荒湯地獄の野湯
  • ブルーシートで作られた野湯
  • 沸き出した野湯
  • 立ち入り禁止の看板
  • 酸性硫黄泉の荒湯地獄の野湯
  • 沢に沸く翡翠色の野湯
  • 沢に沸く翡翠色の野湯
  • スノーシューで野湯へ
  • 硫化水素ガスで木々が消えた荒湯地獄

             

「野湯(のゆ)」とは、自然の中で自噴していて、人の手が加わった商業施設が存在しないような温泉のこと。「日本国内にそんな所が存在するのか?」と思う人もいるかと思うが、実は人知れず湧出している野湯は全国各地にある。

その形態は様々で、ヤブやガレ場、川の中など、道なき道のはてにある難関もあれば、遊歩道沿いやクルマが通行できる林道沿いにあり、誰でも行きやすい野湯もある。

この連載では、著者が体験した、手つかずの大自然の中で格別の満足感を味わえる野湯を紹介してゆきたい。         

野湯界の登竜門となる荒湯地獄は積雪期がおすすめ

アクセスが楽で、先人が作った湯船があちこちにあり、豪快な地獄の景色も楽しめる荒湯地獄。これから野湯を始めようとするビギナーの登竜門的存在だ。

宮城、山形、秋田の3県の県境近く、県道294号線の国見峠から西北西に1kmほど下った先から鬼首(おにこうべ)地熱発電所へ向う林道に入る。さらに2kmほど進むと、北側に白い山肌と噴気が見えてくる。そこはGoogleマップにも荒湯地獄と表示されている有名な噴気地帯であり、非積雪期は一般の観光客も訪れるスポットだ。その東部では地獄地帯と周辺で自噴する温泉が川になっていて、あちこちで野湯を楽しめる。

有名な野湯なので他の人たちが入湯していることもよくあるが、積雪期には来る人はほとんどいない。そのため、自分たちだけで独占して入湯することができる。実は私はこれまで数回荒湯地獄を訪れたが、毎回積雪期であり、人跡を感じることは全くなかった。          

林道でスノーシューを装着して雪深い林の中に入ってゆく。硫化水素ガスの影響で辺りの木々はなくなっていき、ルートファインディングには苦労しない。トレースはなく雪をラッセルしなければならないが、十数分も歩けばダイナミックな地獄の景色が広がる荒湯地獄に着く。積雪期の荒湯地獄は、白い大地の雪の中にぽっかりと大きな穴を開け、岩や石が散乱している。荒涼とした原野のあちこちから噴気が立ち上っている。神々しい風景に畏敬の念を感じざるを得ない。

荒湯温泉の開湯は約400年前。1586年に発見され、1602年には姥湯旅館という温泉宿ができたという。明治の頃には下瀧湯、新瀧湯の3棟があって湯治客で栄えたようだ。この荒湯地獄は、かつて硫黄鉱山で露天掘りが行われていた。

以前は鬼首鉱業株式会社の従業員家族のために、鬼首尋常小学校荒湯分教場が設置されていたというが、昭和20年にあたる1945年に廃止。昭和30年代には温泉宿も鉱山もなくなったという。今ではそれらの面影は何も見当たらないが、温泉は絶えることなく滾々と湧き続けており、野湯好きにはとっておきのパラダイスとなっているのだ。