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体液が皮膚炎を引き起こす! 身近な猛毒生物の〝生態と対策〟【vol.05 アオカミキリモドキ・マメハンミョウ・アオバアリガタハネカクシ】

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  • アオカミキリモドキ
  • ツチハンミョウ
  • アオバアリガタハネカクシ
  • マメハンミョウの毒液
  • マメハンミョウ
  • アオカミキリモドキの毒

野原で遊んでいるときや、夜にキャンプの明かりの周囲で、猛毒をもつ虫に出会うことがあります。触れたり、振り払おうとしてつぶしたりすると体液が肌に付着し、あとからやけどのようなひりひりとする痛みに悩まされます。

決して彼らから襲ってくるわけではなく、偶発的に起きてしまうお互いにとっての災難ですが、その危険性を私たちが知っていればある程度被害を避けられるでしょう。

今回は、体液に含まれる毒が皮膚に炎症を起こす虫について、野外における危険生物対策の研究や指導を専門に行う、一般社団法人セルズ環境教育デザイン研究所の代表理事所長、西海太介(にしうみだいすけ)さんにお話をお聞きしました。

きれいだが触れてはいけないアオカミキリモドキ

光沢のある緑色の背中が特徴の、体長10~16mm程度のカミキリモドキの仲間で、全国に分布します。カミキリモドキとはカミキリムシに似た虫で、約60種いることが知られ、その3割程度が毒をもっています。

「今回お話する虫のうち、最も出会いやすく、覚えやすいのがアオカミキリモドキです。7~8月の夜、明かりが灯っているところ、たとえば道の駅のトイレや自動販売機、コンビニの周囲などで見つかります。花粉を食べるので、日中は花の上でよく見かけます。昆虫採集をしている子どもが、つかまえようとして被害に遭うケースがあります」(西海さん)

この虫は、卵から幼虫、サナギ、成虫にいたるすべての段階で、カンタリジンという毒をもっているのだそうです。

「成虫を刺激すると、脚の関節から透明の体液を出します。これが皮膚につくと、数時間後にやけどのようなひりひりとした痛みや、水ぶくれなどの皮膚炎症状を起こします。その後かゆみを伴い、1~2週間悩まされます」と西海さん。

もし、手や腕を這われたら、そっと払うか、ふり落とすようにするといいとのこと。もし誤ってつぶしてしまったり、つかんだりして体液が皮膚についた場合は、すぐに応急処置をしなければなりません。

「なるべく早く水で洗い流してください。石けんを使うのもいいでしょう。その後、抗ヒスタミン軟膏を塗ってください」(西海さん)

暗殺にも使われた? 強い毒をもつマメハンミョウ

マメハンミョウは赤い頭と黒い体が特徴の、体長12~20mm程度の虫。本州、四国、九州のほか、中国や台湾にも分布し、体に白いストライプ模様があるものもいます。

幼虫のときはイナゴやバッタの卵を食べ、成虫になると大豆などのマメ科植物や、ジャガイモなどのナス科植物の葉を食べるため、幼虫のときは益虫、成虫は害虫とされます。

「この虫も体液にカンタリジンを含みます。毒の含有量が高く、マメハンミョウを2~3匹食べれば大人でも致死量になるとされています」(西海さん)

かつてこの虫を乾燥させた粉は、食事に混ぜて暗殺に使われのだとか(諸説あります)。

マメハンミョウはつままれたりつぶされたりなどすると脚の関節から黄色い毒液を出し、皮膚につくとそこが赤くただれたり、水ぶくれを起こしたりします。

「アオカミキリモドキと同様に、肌に体液がついたらなるべく早く水で洗い流しましょう。抗ヒスタミン軟膏のほか、ステロイド系軟膏を塗るのも一定の効果があるとされています。炎症がひどければ無理せず病院へ行ったほうがいいでしょう」(西海さん)

マメハンミョウの仲間のツチハンミョウも有毒生物です。体長は10~25mm、お腹が大きいアリのような姿をしています。飛ぶことはできず、地面の上を動き回ってやわらかい草の葉を食べています。

「この虫も体液中のカンタリジン含有濃度は高いと考えられています。見かけたときは素手で触れないように注意しましょう」(西海さん)