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川崎の住宅街にある丘には動物園がある、神社がある、古墳がある! 不思議がテンコ盛りの加瀬山に行ってみた

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川崎市には生田緑地の枡形山や多摩丘陵の諏訪ケ岳といったマイナー低山が複数あります。いずれも標高100mにも満たないような超低山、というか丘と行ったほうが正しいような山ですが、個性の強さでは1000m超の丹沢の山々にも引けを取りません。JR新川崎駅近くの住宅街にある加瀬山は、まさに強烈な個性を放っていました。

4世紀の古墳が発掘された公園横に赤穂浪士所縁のお寺

まず加瀬山は川崎市公式では長さ約750m、幅約150mで面積約6.3ヘクタール。標高約35mの丘となっています。川崎市幸区の市民健康の森に指定された緑地公園ですが、地元の住民からは加瀬山の名前で親しまれ、かつては東京湾まで一望できた丘だそうです。

加瀬山はいくつかの歴史的発見がありました。それが白山古墳です。4世紀に作られたと言われる前方後円墳で、前著は87m。ガラス玉や鉄刀などの出土品が発掘されたそう。慰霊塔のある広場一帯が、その白山古墳のあった場所となっているようです。白山古墳の標の杭を並べて輪郭を再現しています。

唯一わかりやすいのが円墳の7号墳でしょうか。前方後円墳の円墳部に近いところに盛り土となっています。頭頂部には祠があります。

この広場横にある了源寺は一転して赤穂浪士との関連が語られます。軽部五兵衛の墓所があるそうです。軽部五兵衛は討ち入りを果たした浪士ではなく、赤穂浪士の討ち入りをサポートした地の豪農だったそうで、赤穂浅野家江戸屋敷に出入りしていた縁で、討ち入りの功のあった人物として知られています。

お寺裏にいきなり広がる動物園は充実のラインナップ

了源寺脇の通路先に夢見ヶ崎動物公園が広がっています。市民公園ですので、動物園は入場無料です。同動物園は川崎市唯一の動物公園で昨年2024年が開園50周年でした。

了源寺側からのルートではゲートなどはなく、いきなりレッサーパンダ舎から始まります。市民公園の動物園とタカをくくってはいけませんね。ちなみに、同動物園のレッサーパンダはシセンレッサーパンダという中国西南部産の種です。

ペンギンとフラミンゴゾーンが続き、リクガメ舎、サル舎ではクモザルやフサオマキザルなど南米系のサルがいます。大型動物ではシマウマとホンシュウジカ、ラマ、マーコールなどがいます。キリン、ゾウはいませんが充実のラインナップではあります。結構いい大人が夢中になって見学しています。

そのほかにはタヌキ、アナグマやマーモセット、リスといった小動物群。そしてキジをはじめとするトリゾーンが畜舎を並べていますが、鳥インフルエンザ予防により、畜舎にはビニールが貼られています。鳥インフル騒動が鎮まるまでは、トリ好きの方々にはご不満かもしれませんね。また動物との触れ合いも不可です。あくまで見学のみですが、園内は静かで落ち着いており、じっくり動物たちを見学できるのは魅力です。

太田道灌が築城を夢見た丘には天照皇大神と五社が建つ

そして圧巻の寺社群。動物園内に熊野神社。そして丘の西端には天照皇大神。鎌倉時代末期の創建とされています。祭神が神社の名前そのものですが、神奈川県神社庁でも天照皇大神(てんしょうこうたいじん)で登録されています。

かつて太田道灌がこの地に築城しようと訪れたそうですが、夢のお告げにより断念したものの、夢では東北の空に縁起の良い丹頂鶴が舞い飛んだということから、武蔵国、つまり江戸に江戸城を築城したという言い伝えが残っています。天照皇大神には道灌の他に、この地にゆかりのある人物として北条氏政の名前が挙げられています。

この境内に5社が置かれています。大正時代に村内5社を合祀したそうです。浅間社、弁財天社、石神社、三峯神社そして稲荷社です。さすが万物の神、天照大神ですね。

神社の奥には富士見デッキという展望ポイントがあります。前方後円墳型のデッキが置かれています。加瀬山は標高約35mの丘ですが、とてつもなく強烈な個性を放っています。一度足を運んでみてはいかがでしょうか。最寄駅はJR横須賀線・新川崎駅またはJR南武線・鹿島田駅になります。