大菩薩嶺は路線バスが利用でき、なおかつバス発着点の上日川峠には大駐車場が用意されていることもあり、多くのハイカーが訪れる人気の山です。また同峠からはビギナーでも無理せず周回できることから、初めて百名山のピークを踏む山として人気があります。また富士山眺望にも秀でており、山頂からの稜線歩きの楽しさも教えてくれる名山です。
600mに満たない累積標高差で無理なく日帰り登山が可能
大菩薩嶺は標高2057mです。日本百名山には2000m未満の山は意外に多く37座ありますが、もっとも低いのが茨城県にある筑波山(女体山)の877mです。大菩薩嶺が百名山デビューに最適な理由は、冒頭に記したように交通の弁の良さもありますが、標高差が小さいことが挙げられます。

利用者の多い上日川峠登山口はじつは標高1585mです。大菩薩嶺との標高差は単純に引き算で472mです。実際に山はアップダウンが加わるので累積標高差(登りの距離だけを加算した数値)が正確な目安となります。大菩薩嶺の場合、多くの登山者が回る唐松尾根から山頂を経て親不知の頭〜大菩薩峠の周回路をたどると思いますが、意外にアップダウンが少なく累積標高差は約590mです。誤差を加味してもおおよそ600mで2000m級高山のピークが踏めることになります。

初心者でも無理なく山頂へ。そして気分爽快な稜線歩き
大菩薩嶺の唐松尾根登山道は一部に急登部もありますが、全体に登りやすいコースです。

大菩薩嶺山頂はあいにく木々に囲まれており、眺望は望めませんが、唐松尾根上の山頂直下の雷岩からは待望の絶景を堪能できます。ゆったりとしたシルエットの富士山と手前に大菩薩湖です。

雷岩から大菩薩峠に続く稜線歩きは、基本緩やかな下りで常に富士山に見守られながらの山行です。開放的な稜線歩きは、経験の浅いハイカーに登山の楽しさの一面を見せてくれるのではないでしょうか。

大菩薩峠からは登山口の上日川峠に戻る周回コースでおよそスタートから3時間〜4時間目安のコースです。十分に日帰りで百名山×絶景を楽しめますが、山中には営業小屋が3軒あります。大菩薩峠に介山荘。唐松尾根口に福ちゃん荘。そして上日川峠にロッヂ長兵衛です。


とくに介山荘では晴れていれば、宿を出てすぐに美しい夕景、朝焼けを堪能でき山小屋泊の魅力を教えてくれます。また、福ちゃん荘ではテント泊も受け付けていますので、テント泊デビューもしたいという方にも最適かと思います。

大菩薩嶺は懐の深い山です。一度ならず、2度3度と訪れるうちに、大菩薩峠登山口からの丸川峠周りルートや、上日川峠手前の石丸峠からの逆回りの健脚向けルートがあります。

そして大菩薩峠からの小金沢山等の小金沢連嶺の山々の縦走、または牛の寝通りを駆って小菅村に至るロングトレイルなど、登山者自身のスキルアップとともにバリエーションを楽しむこともできる、魅力に溢れた山であることに間違いないでしょうね。未踏の方にオススメです。
