大阪府の最北端に位置する豊能郡豊能町は、のどかで美しい里山風景が残された希少なエリア。隣接する兵庫県川西市黒川地区と並び、「日本一の里山」として知られています。
この地区にあるのは、標高の低い低山ばかりですが、豊かな自然環境に手軽に触れられるうえ、大阪府下とは思えない〝旅感〟が味わえるのも魅力。一帯にはエドヒガンの群落や、ミツマタが埋め尽くす谷もあり、筆者は毎年春に訪れています。
今冬は暖冬傾向だったわりに、早春からの季節の進み方が遅く、意外と遅い春となりました。花の開花も予想が難しく見頃がいつになるのか、やきもきしながら、3月下旬に行ってみることに。住宅街のはずれにある登山口から山へ入ります。

地域のボランティア活動で山道の整備をしてくださっているようでとても歩きやすいコースです。道標などもしっかりしているので、市販の登山地図には含まれていないエリアではありますが、道迷いの心配はあまりなさそう。

真っ白なベルがお出迎え
分岐ごとに道標を確認しながら進んで行きます。平日はあまり人に会わないエリアなのですが、天気のいい土日なんかはきっと賑わうのでしょう。歩いているとさっそく早春の花がお出迎え。

真っ白のベル型の花が房咲きになっている「アセビ」です。とても可憐な花なのですが、この木には毒があるので、このエリアに多く生息するシカも食べません。そのため、アセビはかなり比率として多い樹種です。シカが好んで食べる植物はほとんど姿を消してしまって、植物相としては少々貧困な感じ。
名もなきピークをいくつも越えて、尾根筋から沢へと下っていきます。