修行コースを進んでいく
さあ、ここからは修行のコース。気を引き締めて、事故のないよう安全に! 尾根道を下っていくと、だんだん険しい岩場になって、「東覗」「西覗」と名付けられた岩が出てきました。その先で、滑りそうな落葉がたくさん散り敷いた激下りにビビりながら谷底へ向かって進みます。
次に待ち受けているのは、巨岩に囲まれた狭い穴。この穴を潜っていかないといけないみたい。

ちょっと前に訪れた笠置山にも似たようなスポットがあったのですが、あちらは道の上下左右が岩に囲まれているだけで、怖さはまったくなかったのですが、こちらは先が見えないので、ドキドキします。
穴の中もガケになっていて、ビビりながら、もがきながら、なんとか通り抜けました。これで、清らかに生まれ変わったかしら?
試練はさらに続きます。落差20~30mはありそうな滝の脇を下って、谷底へ。滑りそうでコワい。下から見上げると、黒々とした巨岩の表面を水が伝い落ちていく神秘的な滝でした。

水しぶきが降ってくる滝の下に祀られているのはお不動さま。苔むして、さらに風格を感じさせる佇まいになっておられます。

閲覧注意! 道の脇にシカの白骨が……。沢登りなどをしていると、たまに動物の骨が落ちているのをみかけますが、こんなにきれいに複数のパーツが揃っているのは珍しいです。まるで骨格標本。

行場の核心部はほとんどロッククライミング!
谷底までくだったあとは、さらに沢沿いに下流へ進み、「護摩壇」と名付けられた地点から、いよいよ核心部の登りになります。役行者さま、よくこんな岩場がたくさんある山を見つけられたなぁと感心しながら登ります。

鎖がかけられた「鐘掛」。ほぼ垂直な板みたいな岩で、鎖をつかんで登るのはかなり腕力がいりそう。右側の巻き道から登りましたが、それでもけっこうな岩場です。そして、圧巻のクライマックスはこの岩!

かなり高度感があり、クライミングをやっててよかったなぁと思いながら登りました。ノーロープでいけるギリな感じ? ぐるっと周回すること約1時間。迎え行者さまのところへ戻ったときには、無事でよかった、と胸をなでおろしました。役行者さま、ご加護に感謝いたします。なかなか厳しい修行の山でした。
ちなみに、修験道の本場、大峰山の山上ヶ岳に対して、この行場は「北の山上」と呼ばれているそうです。大峰山はいまだに女人禁制を守っていますが、こちらは女性にも門戸を開いてくださっています。