先月、九州の山に登りに行きました。そろそろ見ごろを迎えているはずのミヤマキリシマに逢いたくて。くじゅう連山は、九州本土最高峰である中岳をはじめとする1700m級の山々が連なり、「九州の屋根」と呼ばれています。また、山の中にとても泉質のいい温泉が湧いてて、山小屋でかけ流しの温泉が堪能できる、温泉ファンには垂涎の山なのです。
大荒れの前日から天候回復して登山日和に?
出発前日は梅雨前線が活発化し、九州から近畿地方にかけては警報級の大雨だったのですが、当日朝から次第に天候が回復、神戸からの移動中に晴れてくる予報でした。
博多駅に着いたとき、すでに天候回復していたのですが、大分県に入る頃から、なんとなくどんよりした空模様に。そして、どういうわけか、登山口は霧雨。「晴れ予報はどこへ行った?」と呟きながら、レインウェアを上下とも着用。雨中渋々出発です。

くじゅう連山は、山がたくさんあるので、登山口もあちこちにあるのですが、今回は主峰の久住山に近い「牧ノ戸峠」から歩きます。登山道はよく整備されていて歩きやすく、道標などもしっかりあるので安心なんですが……..。

登山口から少し登ったところにある「第一展望所」は、展望ゼロ! すぐ目の前にある東屋がかすんで見えるレベルです。なんでやねん。「大丈夫、天気は回復傾向だし、そのうち晴れてくるはず!」と言いながら登っていたのですが……。

どこまで行っても晴れません! しかも、火山の山なので、地面がぬかるみがち。降りて来る登山者とすれ違うと、みなさん泥まみれ。レインパンツの裾が茶色く染まっている人ばかり。昨日はたいへんな天候だったんだよな。初めのうちは「お気の毒に」と思って見ていたのですが、だんだん自分たちも泥だらけに……。他人事ではない。

濡れた岩が滑りやすいということはとくにないのですが、ドロドロの粘土質のところが多くて、とても歩きにくかったです。
ミヤマキリシマの可憐さに癒される
登っても登っても天候は回復せず。それどころか、高度が上がるほどに風雨が強まってくる感じ。レインウェアの袖口や襟元から雨が侵入してきて、手袋や帽子も水浸し。標高はすでに1500m超え、動いていても身体が冷えて、震えが出るレベルです。
だんだんみんな口数も少なくなってきて、「がんばって歩いて、温泉でゆっくりあったまろうね!」と励ましあいながら進んで行きました。そんな頃合いで、霧の中に見えてきた華やかな色彩は!

憧れの名花、ミヤマキリシマです。ミヤマキリシマは、九州各地の山々に自生するツツジ科の樹木。火山性の高山のみに分布する種です。
1909(明治42)年、「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎博士が、新婚旅行で霧島を訪れたときに命名したそうなのですが、ミヤマキリシマの最大の自生地はくじゅうです。もし、旅行先がくじゅう連山だったら、「ミヤマクジュウ」になっていたのかもしれません。
筆者のホームマウンテンである六甲山にも、ツツジ科の樹木はたくさんあって、早春のコバノミツバツツジ、そのあとに咲くモチツツジ、初夏に咲くヤマツツジなど、どれも美しくて好きなのですが、ミヤマキリシマはそのどれとも違う感じ。風雨に叩かれながらも、霧の中であでやかな色彩を放って凛と咲いている姿は本当に美しい。
もしかして、晴れてる中で見るよりキレイなんじゃない? (負け惜しみでしょうか?)可憐な花に癒されながら、がんばって山頂を目指しましょう。

くじゅう連山の主峰「久住山」の山頂の景色は?
登ってる間に霧がサーっと晴れて、山頂では景色が見えたらいいのにな、と期待をしつつ歩いていたのですが、残念ながら山頂に到着しても、一面深い霧……。ココは霧島山か!?(あ、以前、同じ九州の霧島山へ登った時に、ずっと深い霧に覆われて何も景色が見えず、「コレがホンマの霧島山やなぁ」と呟いたのを思い出したんです。残念……。)
ともあれ、ピークは踏んだ! 景色は見てないけど! あとは温泉目指してがんばろう!

今回は、牧ノ戸峠の登山口(1333m)から、沓掛山(1503m)を経てくじゅう連山の主峰・久住山(1786m)、北千里ヶ浜から法華院温泉(1303m)まで縦走する計画です。天気がよければ、九州本土最高峰の中岳(1791m)にも登りたかったのですが、そんな天候ではない。大きな岩がごろごろする中、温泉を目指して下って行きます。
