「岩の殿堂」の核心部である「吊尾根」へ
山頂からの景色をたっぷりと堪能し、紀美子平へ下ります。デポしておいた荷物を背負って、いよいよ「吊尾根」パートへ突入します。

標高3090mの前穂高岳と、標高3190mの奥穂高岳をつなぐ稜線が「吊尾根」。岩だらけのスリリングな尾根道です。標高2920mの「最低コル」まで下って、そこから約300mの登り返しとなります。吊尾根からは、先ほど登頂した前穂高岳から北東方向に伸びる「前穂北尾根」が間近に見えます。

4峰、5峰、6峰……。鋭い稜線が穂高らしい景観。まだ真っ白な雪渓も残っていました。最低コルを越えると、ほぼ登りで、けっこう長い鎖場などもあります。登りと下りの行き違いで混雑すると危ないと思うのですが、幸いここでのすれ違いはなくて助かりました。いくつかの難所を越えて、少し傾斜が緩んできたら、ついに奥穂高岳の山頂が目の前に!

奥穂高岳の山頂付近は大混雑!
出発してから8時間ちょい。いよいよ穂高連峰二つ目のピーク、奥穂高岳に登頂です。だだっ広い前穂高岳と違って、こちらはとんがったピークの上に祠が建てられています。

私たちが到着したとき、高校山岳部の皆さんが山頂にいて、ものすごい大混雑。高校生たちは、横尾から一気に登ってきたそうで、元気いっぱいの子たちも、へろへろになってる子たちも、みんなで登頂の喜びをわかちあっていました。いいなぁ。若いコたち、にぎやかで楽しそう。

高校生たちの記念撮影が終わるのを待ちかねて、ちょっと写真を撮らせてもらって、先に出発します。
大人数の彼らと下りが一緒になるとたいへんなので、山頂で長居はせずにさっさと通過する作戦。じつは、ここからまだ核心部があるんです。

前穂高岳の山頂から、穂高岳山荘がある「白出コル」までは、視界が悪いときには迷い込みやすい場所もあるし、コルの手前は非常に傾斜の強い岩壁。長い梯子がかけられているところもあります。

最後の悪場をなんとか無事にこなし、14時半に穂高岳山荘に到着。9時間もかかったけど、三日間の計画では一番きつい行程を無事に乗り切れてほっと一息。先に到着している人々も、くつろいだ様子で、のんびりした時間を楽しんでいました。夕食は、到着順に時間が決められていて、グループごとにテーブルを指定されます。

和洋取り混ぜたなかなか豪華なワンプレート。ごはんとみそ汁はテーブルごとに用意されていて、自分で好きなだけよそうシステム。足りなくなれば、おひつごとおかわりを頼めます。しっかり歩いたので、しっかり食べて明日に備えましょう。

夕食後、夕陽を眺めに小屋の裏手に行ってみたのですが、太陽が沈む方向には雲が流れていて、日没は見れないかも。しばらく眺めていたけれど、寒くなってきたのであきらめて部屋に戻りました。あとで聞いたら、ちょうど陽が沈むタイミングでさーっと晴れたそうな。残念なことをしました。粘りが足りなかった? ともあれ、しっかり眠って元気回復! 明日も晴れますように!