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おいそれとはたどり着けない? 開発から取り残された里山にある隠れ名所「白川の夫婦岩」を探索

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  • 高御座山
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政令指定都市で150万人の人口を擁する神戸市。お洒落でハイカラな港町というイメージを持たれることが多いのですが、中心部をちょっと離れると、意外なくらいのどかなエリアがあります。とくに、西区や北区には、「ここ、ホントに神戸?」と思うような田園風景が広がっています。

ところが、どちらかというと、開発されつくした感のある須磨区に、そこだけ取り残されたかのような小さな里山が残っているのです。それが、「白川の高御座山」。

国生み伝説にまつわる伝承の地

平安の昔から都の貴族たちが憧れたという風光明媚な須磨には、いろいろな歴史スポットがあります。都落ちをしてこの地でわび住まいをしていた在原行平ゆかりの「松風村雨堂」、源平合戦で壇ノ浦に沈んだ安徳天皇の「安徳帝内裏跡伝説地」、生田の戦いで敗走し、須磨で生け捕りにされた「平重衡捕らわれの地」など。

いろんな時代のさまざまな遺跡がある中で、最も時代が古いのが「白川の夫婦岩」。

白川の里にある高御座山(たかみくらやま)には、「雄高座(おこうざ)」と「雌高座(めこうざ)」と呼ばれている2つの巨岩があり、ふたつ併せて夫婦岩と呼ばれています。

イザナギノミコトとイザナミノミコトが国生みをしたとき、この岩の上で一休みして、最初につくった淡路島を眺めたのだとか。のちに、神功皇后や安徳天皇、建礼門院も訪れたと伝わる、古くから知られた景勝地であったようです。

開発の歴史の中に埋もれてしまった名勝

戦後、神戸市も多くのエリアで宅地開発が進められ、のどかな里山が軒並みニュータウンに姿を変えていきました。歴史を秘めた貴重な史跡も、次第に忘れ去られて、どこにあるのかもわからないありさまになっているものがけっこうあります。この「白川の夫婦岩」がまさにそれ。

白川台という広大なニュータウンのはずれにあることは確かなのですが、行こうと思ったけど道がわからなかった、という話はわりとよく聞きます。神戸市営地下鉄・市バスを乗り継いで、「白川台」というバス停から歩きます。

レトロ感満載の案内図。イメージはわかるんだけど、これでは具体的な道がわかんないです……。

でもイマドキはスマートフォンのアプリでだいたいの位置がわかるので助かります。里山風景の中に、なんだか違和感のある高速道路。阪神高速31号神戸山手線の高架なのですが、このすぐ脇から登るみたい。

急な擬木の階段を登っていくと……。 え?ナニ?白い骨みたいなもの……?

誰のものでしょう。住宅地からほんの100mほどの場所です。ここで落命なさったんでしょうか。この状態になるまで、ココ、誰も通らなかったのでしょうか。先行きが不安になってきた。

高速道路沿いのフェンスに沿って道が伸びているのですが、蜘蛛の巣だらけでたいへん。落ちている枝を拾って振り回しながら進みます。蜘蛛、苦手なんだけど。不安しかない中、小さな案内看板を発見してほっと一安心。

高速道路から離れて、やがてわりとなだらかな山道になりました。急坂が終わって歩きやすくはなったけど、あまり歩く人もいないのか、踏み跡が薄くてわかりにくい。

かすかな踏み跡をはずさないように慎重に歩を進めます。あいかわらず蜘蛛の巣だらけ、木の枝で降り払いながら登っていくと、山頂のようです。景色も何もない、地味すぎる場所。

誰かが架けた、小さな山名札があるだけ。なかなかのガッカリピークですが、目的地は山頂ではないので、先へ進みます。

不思議な岩が点在するエリアへ

登って下って、尾根を辿っていくと、不思議な形をした岩が出てきました。変わったオブジェみたい。

このあたりは「神戸層群」という地質で、古神戸湖という太古に存在した湖の底だったそうです。「白川層」というらしく、たしかに白っぽい岩が多いような気がします。そして、またしても不思議な形状の岩。

ほうきが置いてあるってコトは、コレが「白川の夫婦岩」かな。上に登ってみると、平らで、そしてかなり広い。四十畳敷きと言われている通りです。

端っこの方に、解説版がありました。それによると、江戸時代と、明治時代に書かれた書物に、それぞれ四十畳敷きと書かれているけど、今は風化によって削られて、三十畳くらいになっているそう。へー。そして、この先70mくらいのところに、もうひとつの「雄高座」があるとのこと。

尾根上のかすかな踏み跡を辿っていくと、遠くにまた岩が見えてきた! アレでしょうか。