嗅覚への攻撃!【臭い】
秋の臭さとして有名なのは、イチョウの木の実であるギンナンのタネの周りの、黄色い果皮と果肉ではないでしょうか、高尾の歩道の脇にはイチョウ並木があり、靴底に付いたら電車内などで大変なことになるため、毎年ギンナンを踏まないようにして歩きます。
あの強烈な不快な臭いは主に酪酸という脂肪酸が原因です。これは、タネを狙うネズミを含む齧歯類などの食害動物を強力に忌避し、人間を含めた動物に「食べてはいけない」と警告する役割を果たしています。

また悪臭だけでなく、素手で触るとカブレを起こすなど、触れるな危険と全身で表現します。さらに中身のタネの部分も食べすぎると中毒を起こす成分を含み、食べすぎないように警告をしています。

しかし、忌避せず、むしろ栄養源として利用するタヌキや、アライグマなどはギンナンを食べ遠くに運んで糞として排泄して、そこから芽が出ることがあり植物にとって「不快な臭い」が散布者を選別する結果になっています。
植物の「辛い!渋い!臭い!」という不快な成分は、私たち人間にとっては単なる味や臭いに過ぎません。しかし、その裏側には、子孫であるタネを確実に未来へ繋ぐための、植物たちの進化の戦略が秘められています。彼らは、静かに、そしてしたたかに、動物との攻防を続けているのです。

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