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憧れの「岩の殿堂」穂高連峰へ! 涼しさ満点の山岳リゾート「上高地」から標高2170mの岳沢を目指す

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今年の夏山のメインは大好きな穂高連峰。とても久々に憧れの山を訪れました。上高地から入山し、岳沢で一泊、二日目に前穂高岳~奥穂高岳を縦走、穂高岳山荘に宿泊。三日目はザイテングラートを下って涸沢、横尾、徳沢、明神、そして上高地へ下山という二泊三日の計画です。初日は朝イチで移動しても上高地に着くのが昼頃になるので、前穂高岳の中腹にある、標高2170m地点までという行程。

観光客でごった返す河童橋をスタート

気合で超早起きをして、「のぞみ」から「特急しなの」に乗り継いで、松本駅に着いたのが朝10時。駅前のバスターミナルから、アルピコ交通が運行している「ナショナルパークライナー」で上高地へ。完全予約制のバスで、満席でした。乗客の半数以上が海外からのお客さんでした。

上高地バスターミナルに着いたのがちょうど12時頃。

以前なら指導所で登山計画書を提出するという入山前儀式(?)がありましたが、今は事前にweb提出してあるので、そのままスタートできます。

さっそく歩き始めましたが、河童橋あたりも観光客で賑わっていました。水辺で涼んでいる人もたくさん。やっぱり標高1500mの山の奥座敷は涼しい!

橋の上流側に、晴れていたら前穂高岳から吊尾根、奥穂高岳あたりが一望できるはずなんですが、稜線には雲がかかっていて見えません。明日のお天気はどうかなぁ。正面の沢筋が岳沢で、目指す山小屋も小さく見えてるはずなんですけど……。

河童橋を渡って、梓川の右岸側を歩きます。岳沢湿原の入り口には、クマ注意の看板とベルが設置されていました。軽く打ち鳴らしてクマさんにお知らせしてから進みます。

登山者だけの世界「岳沢トレイル」を抜ける

木道が敷設された湿原の中を通り抜けると、いよいよ岳沢登山口。ここから先は観光客はおらず、登山者だけの世界となります。

岳沢小屋までは、ココから約2時間のハイクアップ。「岳沢トレイル」と称して、小屋までの間を10区間にわけて標識を設置してくれています。手彫りの番号札が素朴でカワイイ。そして、「スリップ注意」の看板が自分がスリップしちゃったのか、横向きになってるのもお茶目です。

樹林に覆われた深い森の中を黙々と登っていきます。最初は傾斜が緩やかだったのが、だんだん登りがきつくなってくるような気が……。

でも、歩いていると、ところどころでひんやりとした風が流れてきます。

岳沢名物天然クーラーに癒される

登山道のあちこちから、冷風が吹き出していて、まるで冷凍庫の扉を開けたみたいな感じでひんやりと涼しいんです。

このあたりは、冬の間はずっと雪に閉ざされています。夏が近づいて、地表の雪がとけて消えても、地中は凍ったまま。「凍土」と呼ばれる状態が長く続いて、秋頃までずっと、冷たい風が流れ出てくるのです。低山と違って元々涼しいとは言え、登りではそれなりに暑くなるので、この天然クーラーにはホントに癒されました。

冷風が吹き出す岩穴の前でじっとしていると、寒くなってくるくらい。猛暑の関西に、この穴をひとつ持って帰りたい。

登山道の脇には、ハクサンフウロやアキカラマツ、ミヤマオトギリなどの高山植物が花を咲かせ、その可憐さにも癒されながら登ります。風穴があると、ついつい涼を求めて立ち止まってしまうので、なかなか先へ進まないのですが……。

上高地バスターミナルを出発してから約3時間。ようやく今宵のお宿に着きました。

15年前に建て替えられた「岳沢小屋」に初見参

ずっと以前、ココには「岳沢ヒュッテ」という山小屋がありました。小屋に泊まったことはないのですが、山岳会のゴールデンウイーク合宿で、ココをベースに集中登山(各パーティがいろいろなルートでベースに集結してくるスタイル)をしたこともあるし、ココにベースキャンプを置いて周辺のバリエーションルートを登ったことも……。

とても懐かしい場所なのですが、2006年に雪崩で小屋が倒壊、当時のオーナーがその後亡くなったこともあって、しばらく再建されないままだったのです。

その後、槍ヶ岳山荘グループが再建に着手し、2010年に「岳沢小屋」として新たに開業。15年経つとは言え、山小屋としては新しい方で、いろいろ快適でした。

食堂や売店がある建物の前には、広いデッキがあって、椅子もたくさん。景色を眺めながらゆったり過ごすことができます。売店では、槍ヶ岳と穂高の名前をつけたクラフトビールが売られていました。

こういう限定ものには弱い……。

「お疲れビア、一本失礼しまーす!」

2000mからの景色を眺めながら、涼しいのを通り越して寒いレベルという贅沢を味わっていると、やがて夕食の時間に。チェックイン順で時間が決められていて、混雑を避ける方式になっています。

メインはカレー。ほかにも、から揚げとか野菜の揚げ物、サラダ、漬物からデザートまで、いろんなメニューが用意されていて、ビュッフェスタイルで自分で食べたい分だけ取り分けて、好きな場所に運んでゆっくりといただくというスタイル。

これなら、たくさん食べたい人も、小食な人も、各自が食べたいだけ盛れるので合理的。食べ残しも発生しないから、無駄がありません。筆者はふだん、日本風のカレーは好んでは食べないのですが、歩いて疲れたカラダには沁みました。昔懐かしい味。