靴を買うときは、ショップに行って試し履きをしますね。サイズ感や硬さ、フィット感、痛いところはないかなど、さまざまなチェックポイントがあると思いますが、険しい道を歩くことが多い登山靴では、普通の靴とは異なる視点も必要になります。
とはいえ、登山靴選びをひとりでやるのは難しいもの。そこは、ショップの店員さんを頼りにしましょう。でも、選び方の基礎知識を持っておけば、試着もスムーズに進められますし、納得感も高まると思います。
では、ショップで登山靴を試し履きするとき、どんな点に注意すべきなのか、「スポーツシューフィッター」の肩書きを持つ、石井スポーツ 登山本店の難波花英さんに、店舗での実際の流れをもとに教えていただきました。
自分の情報を伝えて店員さんにアドバイスをもらおう
「シューズを選ぶときは、お店でスタッフに相談しながら、具体的な山の状況をイメージして選んでいただくことが大切です」と、難波さんは選ぶうえでの前提を教えてくれました。どんな山に行くのか、靴の好みや歩き方の癖など、自分の情報をできるだけ伝えると、店員さんもアドバイスしやすくなるでしょう。
大まかな手順としては、まず足のサイズを計測します。登山靴を試着する際は、登山のときに履くソックスを着用することが重要です。ショップでは試し履き用のソックスを用意していますが、できれば自前のほうが確実です。その場でふさわしいソックスを選んで購入する手もあります。

そして、選んだシューズに足を入れたら、かかと側に寄せて履き、靴ひもをしっかり結びます。「実際に履いていただいたら、そのまま、店内にある傾斜台などを使って、いろいろと履き心地を確認していただきます」(難波さん)

選んだシューズを履いて傾斜台で感触をチェック
店内には、平面のある傾斜台、岩場を想定した傾斜台などが用意されていて、履いた感触を試すことが可能です。一番にチェックすべきなのは、つま先が当たらないか、という点です。

「まずは、傾斜台の真ん中で下りの向きに立って、足踏みしていただきます。すると足がちょっと前にずれてくるので、大きなズレがないかをチェックします。つま先が当たらないことが大事です」(難波さん)。登山靴で最もトラブルが多いのがつま先なので、いわゆる“捨て寸”(つま先部分の余裕スペース)が重要となります。履いたときの感覚、感触は正直に伝えるようにしましょう。

つま先に問題がなければ、今度は反対に上りの向きに立って足踏みをします。そして、かかとが靴の中でスポスポと浮いたり、動いたりしないかをチェック。次に、横向きに立って、同様に足首部分が痛くないか、斜面に対して無理なく足の裏がフラットに設置できているかなどを確認します。

岩場につま先を乗せてソールの剛性を見る
さらに、岩場に模した傾斜台も使います。「岩の隙間につま先だけを引っ掛けてみて、立ちやすいかどうかなどをチェックします」(難波さん)。ソールの剛性が確認できるので、特に岩場の多い山に行く場合は、重要ポイントですね。

このほか、小屋泊やテント泊をよくする人の場合は、重りを入れたザックを背負っての歩行イメージも確認するそうです。「傾斜台を歩くことで、実際の場面を想定して違和感や不安がないかをしっかりとチェックしていただきます」(難波さん)
できるだけ登山をリアルにイメージしながら、そのシューズが、履く人の目的や好みに合っているかどうかを確認できるというわけですね。

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