産地直〝食〟なソトごはん vol.04 北の荒海が旨味を育てる「荒海ホタテ」【岩手・野田村】

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  • 荒海ホタテ
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キャンプといえばとにかくごはん! ただ外で食べるだけでもおいしいですが、せっかくなら地元の旬な食材を、その場で食べられたら最高ですよね。生産者の現場取材&現地で実食シリーズ、産地直〝食〟なソトごはん。今回は、岩手県北東部、野田村の沖合で養殖されている「荒海ホタテ」をご紹介します。

「荒海ホタテ」のおいしさの秘密を探る

岩手県の野田村沖には、潮通しのいい外海で育った「荒海ホタテ」という極上のホタテが養殖されています。

貝柱に甘みと旨味がぎゅっとつまっていて、食感はプリプリ。バター醤油で焼いて食べたら、たまらないおいしさです。

もちろん、素材の味がよいので醤油などを一切つけずに、そのまま食べても絶品。

しかしいったいなぜ、こんなにもおいしいホタテに育つのでしょう。

その理由を探るべく、荒海ホタテの養殖の現場を取材させていただきました。

今回取材させていただいたのは、漁師歴37年の漁師、小谷地 勝さんと、その元で修行する期待の新星、嶽間沢 貴さん。

その日は快晴で海も比較的おだやかだったため、朝6時頃に漁船を出してくださいました。

引き上げてびっくり⁉︎ 荒海ならではの養殖方法とは

港からホタテの養殖場所までは、漁船でおおよそ15分ほど。

一般的な養殖のホタテは内湾で育てられることが多いですが、野田村の荒海ホタテは湾から離れた荒れた外海で、海流に揉まれながら育ちます。外海は内湾に比べて潮がよどみなく流れるので、水質のよさが抜群です。

そして波が早いということは、潮の流れに乗って、ホタテのエサとなるプランクトンがどんどん流れ込んでくるということ。たっぷりとエサがある環境下で育つので、肉厚でぷりぷりとしたホタテになるのです。

小谷地さんは養殖現場へと向かいながら、「ここは漁師には悪いけど、ホタテにはいい環境だ」と話します。

荒れた海なので、しけで船を出せない日も多くあるようですが、問題はそれだけではありません。

養殖場に到着すると、小谷地さんたちは海の中にあるホタテを引き上げました。

ここではホタテを網に入れて養殖しているのですが……引き上げられた網を見てびっくり。なにやら付着物がびっしりと付いています。

網に張り付いているのは、魚のエサにもなる、小エビやムール貝など。

この外海のようにプランクトンなどの栄養が豊富な環境では、ホタテ以外の生き物もよく育つということ。それらがホタテを養殖している網に貼り付くと、水の通りが悪くなってしまったり、ホタテに栄養がいかなくなってしまうのです。

そのため漁師さんたちは、網の交換や、ホタテについた付着物を取る作業をこまめに行います。ホタテを成貝にするまでには、5回もネットを交換しているのだそうです。

ホタテの養殖は、ホタテの端に穴を開け、紐に通して干し柿のようにぶらさげて沈める「耳吊り方式」が一般的です。これだとネットの交換も必要なくて比較的ラクなのですが、野田村の荒海ホタテは、この耳吊り方式はとりません。

この方法でホタテを養殖した場合、荒海ゆえにホタテが流されてしまったり、海中の栄養分が豊富すぎるので、付着物がつきすぎて、ホタテが酸欠になって死んでしまうのです。

そのため、野田村では、「ホタテをネットの中に入れて自由に泳がせる」といった方法がとられています。こうすることで付着物の少ない環境でホタテもすくすくと育ち、自由に泳げるのでストレスもかかりません。

荒海で栄養の豊富な海であるからこその苦労も多く、漁師さんは手間暇をかけて養殖を行っているのです。

また、ネットの交換作業をする際には、ホタテの成長具合をみて、適度にまびく作業も行うのだそう。

「形や重さ、サイズとかを見て、成長が見込める〝いいホタテ〟だけを厳選するんだ」

そう言って小谷地さんは、いくつかのホタテを海に投げ込みました。

こうして残ったホタテたちは三年間プランクトンをたっぷり食べて、甘みのある濃厚な味のホタテへと成長してゆきます。

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