戦国に名を馳せた海賊たちの夢の跡「しまなみ海道サイクリング」【vol.06 因島・村上水軍めぐり】

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  • 因島水軍城
  • 因島水軍スカイラインから見る風景
  • 因島村上水軍の銅像
  • 大山神社
  • 青影城址
  • 因島水軍城
  • 大浜海岸から見る八重子島としまなみ海道因島大橋
  • 白滝山の五百羅漢
  • 重井西港一帯の風景
  • 馬神城址(二の丸跡)
  • 白滝山から見る風景

室町時代から戦国期にかけて、芸予諸島を中心に活躍した村上水軍。戦国期には毛利氏や小早川氏などに属して戦に加わったことから「海賊」と称されがちですが、彼らの主な生業は水先案内でした。関所で商船などから通行料を徴収して、潮の流れが速く読みづらい島々の間を安全に先導。文字通り瀬戸の覇者として、界隈の海を掌握していました。

村上水軍は因島と能島、来島それぞれを本拠とした三家に分かれていて、しまなみ海道の沿道にも史跡が多数残っています。三家の一つ・因島村上水軍にまつわる足跡を、因島を自転車で縦断しながら訪ねてみましょう。

海に臨んだ水軍の城跡を眺めながら走行

因島へは三原港から、土生商船のフェリーを利用。北側の重井西港へは所要20分ほどで、入港する手前の左手に馬神山がそびえています。かつては重井の前に浮かぶ小島で、周囲を囲む急な崖に名残が見られます。

島へ上陸したら船溜まりを回り込み、しまなみ海道のサイクリングロードへ。瀬戸内の島の集落らしい、重厚な古民家が並ぶ中を走っていきます。小さな峠の頂上から分岐する小道を入ると、みかん畑の斜面の中へ。途中からは、馬神山への登山道がのびています。

周囲が開けた馬神山は三方の海が広く見渡せ、戦国期には村上水軍の馬神城が置かれていました。頂上は標高91.6mあり、周辺を航行する舟を監視するのに絶好の立地。小さな曲輪の跡も現存するなど、城郭の名残をとどめています。

サイクリングロードへ戻って島内を北上、重井川を渡った先では、市街の奥に緑の小山が臨めます。ここは因島村上氏六代当主吉充が拠点とした、青木城の城跡。かつては海に臨んでいたとされ、堀切や曲輪の跡も現存。先ほどの馬神城は、青木城の支城だったともいわれています。

急勾配を上った山頂は多島海の見張り台だった

海に臨む城跡と里にそびえる城跡、それぞれを眺めて走ってきたところで、ここから山登りのサイクリングへ。畑の中の丘を登り、因島フラワーセンターの前を通って、白滝フラワーラインへ入ります。斜面をワインディングしながら標高を稼ぎ、東側からの道が合流するロータリーへ着いたら、もうひと上りで八合目へ到着。自転車はここまでで、まずは東屋が設けられた展望所でひと息入れましょう(※勾配15%、健脚向けのヒルクライムです)。

眼下には因島の北部から、布刈瀬戸方面の海を一望。西側には青木城とやや先に馬神山を見下ろせ、北側は工業団地越しに細島、小細島の島々。さらに先には、毛利家が城を構えた三原の市街までも見渡せます。標高226mの白滝山山頂へはさらに徒歩10分ほどで、村上吉充が見張りのために置いたと伝承される観音堂も。五百羅漢や石仏群なども配され、信仰の山としても知られています。

水軍の拠点の集落でお城の「お宝」を鑑賞する

白滝山からはもと来た道を豪快に下って行きます。ロータリーまで戻ったら北へ進み、激坂を登坂。そのまま白滝フラワーラインを走り、北展望台を経由して因島大橋のたもとまで下ったら、国道317号へ。小さな漁港がある大浜を経て、島の東側の海岸線沿いに走っていきます。道中には因島八景にも数えられている、大浜海岸と八重子島の景勝も。島の中ほどで内陸へと入っていき、中庄へと到着します。

中庄は因島村上水軍とのゆかりが深い地で、斜面には歴代の墓所がある菩提寺・金蓮寺の境内が広がっています。高台にそびえる、城郭の隅櫓を模した資料館は、因島水軍城。村上吉充の肖像画や、鎧の一種である白紫緋糸段縅腹巻、吉充が中国から持ち帰った涅槃図など、水軍にまつわる資料が展示されています。

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