焚き火のハウツーと知識を徹底的に解説した〝焚き火実用書の決定版〟『焚き火の本』。
テレビや雑誌で活躍中の焚き火の達人・猪野正哉さんが解説するこちらの一冊から、今回は「上手な火の育て方」について転載します。
火を育てるコツは目を離さず薪を離すこと
さっきまで勢いよく燃えていたのに、ちょっと目を離したすきに消えていた、なんてことはよくある話。それはきっと着火剤や焚きつけが燃えていただけなのを、薪まで燃えたと錯覚してしまっていたから。炎が勢いよく上がったからといって、太い薪に火がついたとは限らないのだ。
太い薪に火が燃え移らない原因としては、薪を積みすぎて内部に十分な空間がなく、酸素不足で不完全燃焼していることが考えられる。こうなってしまうと、いくらあおいで空気を送り込んだとしても一瞬しか炎が上がらず、長くは燃え続かない。いったん薪を組み直したり、間引いてあげなければならない。
![](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_01_main_ya_inotakibi_2825-のコピー-2-1024x762.jpg)
燃えだしたからといって、バンバン薪をくべないことも重要だ。入れすぎると、また酸欠になって堂々巡りになるので、太い薪が半分ぐらいになるか、熾火が下にたまり始めたのを目安につぎ足すようにしよう。高温状態をキープできれば、ちょっとくらい雨が降ったとしても火が消えることはない。
「薪、燃えました!」と判別してくれる都合のいいギアはない。中くらいの太さの薪に火が燃え移り、焚き火が安定するまでは、目を離さず、その場から離れないようにしよう。
着火後に火を大きくする手順
1 細い薪に確実に火がつくまで、なるべく触らないようにしておく。焚きつけの力を信じる。
![焚き火の火を大きくする手順①](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_02_1_ya_inotakibi_2313-1024x681.jpg)
2 樹皮側よりも幹側に火が当たるようにしておく。切断面が毛羽立っているので燃えやすい。
![焚き火の火を大きくする手順②](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_03_2_ya_inotakibi_2316-1024x681.jpg)
3 焚きつけに薪を立てかけいく。最初の1本をベースにして、不安定にならないように組む。
![焚き火の火を大きくする手順③](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_04_2_3_ya_inotakibi_2317-1024x681.jpg)
4 ベースの薪の上に放射状に組んでいく。場合によってトングよりグローブのほうが扱いやすい。
![焚き火の火を大きくする手順④](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_05_2_4_ya_inotakibi_2320-1024x681.jpg)
5 最低でも太い薪を同時に3本は燃やす。炎が薪にかからないときは多少移動させてもいい。
![焚き火の火を大きくする手順⑤](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_06_5_ya_inotakibi_2330-1024x681.jpg)
6 焚きつけは絶対に崩れてくるので、太い薪を炎に合わせて置き替える。ここは面倒がらない。
![焚き火の火を大きくする手順⑥](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_07_6_ya_inotakibi_2348-1024x681.jpg)
7 散らばった炭火を中央にまとめることで安定した火力が得られる。もう消える心配はない。
![焚き火の火を大きくする手順⑦](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_08_7_ya_inotakibi_2415-1024x681.jpg)
8 薪を組み直したら完成。煙が出ていても、ひと吹きすればいつでも火がおこる状態になる。
![焚き火の火を大きくする手順⑧](https://www.sotolover.com/wp-content/uploads/2024/02/sodate_09_8_ya_inotakibi_2431-1024x681.jpg)