飯能アルプスは人気アニメの「ヤマノススメ」で、主人公たちが登ったご当地アルプスとして知られています。埼玉県飯能市から秩父市にまたがる山域で、飯能駅寄りの天覧山(標高197m)から北端に位置する伊豆ヶ岳までの、約25kmに及ばんとするロングルートですが、無理せず、いくつかに分割してプチ縦走を楽しむことができます。同アルプス最高峰の伊豆ヶ岳から子の権現を廻る周回ルートなら、足腰鍛えられますよ。
アニメ&走り屋の聖地「正丸峠」を目指す
標高851mの伊豆ヶ岳は、西武秩父線・正丸駅が最寄り駅の人気の低山です。駅から30分ほどで正丸峠を通るルートの登山口に行き着けます。コンパクトさに加えて、この駅チカ感覚もあり、伊豆ヶ岳を訪れるハイカーが多くいます。ここでは正丸峠からのアプローチをとります。

駅から集落の舗装路を伝い、本格的な登山口に踏み入ります。鬱蒼とした植林地を縫うように緩やかに高度を上げていきます。手前の大蔵山登山口から訪れるハイカーも多く、正丸峠ルートは比較的静かなオープニングを迎えます。正丸峠までの標高差200mを埋めます。

ラストの急登な階段を登りきると正丸峠です。一軒の茶屋と展望台があります。展望台からの眺望は都心部まで一望できます。天気に恵まれれば、スカイツリーを見ることも。

ちなみに茶屋脇には昭和天皇及び平成天皇御展望の記念碑が建てられています。そういえば正丸峠というと、これまた人気のアニメ「頭文字(イニシャル)D」でもお馴染みですね。飯能アルプスはアニメ聖地巡りの宝庫といっていいでしょう。

諸説紛々の伊豆ヶ岳からギザギザ急登ルート突入
正丸峠から伊豆ヶ岳へは稜線をつたい、まず小高山(標高720m)を目指します。この稜線が気持ちの良い緩やかな上りの登山道であり、関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)として親しまれています。文字どおりの小高い山の山頂部にはベンチがあります。飯能アルプスの人気の理由に、先々の頂で休憩に適したベンチが設置されていることが挙げられるかと思います。

登山道は大蔵山ルートと合流して五輪山(標高770m)。そしてこの先に伊豆ヶ岳登山の核心部と言える男坂/女坂が控えています。

男坂は約50mのクサリ場で、幾度かの滑落事故が起きている同山最大の難所です。ために注意看板には「通行により事故を招く恐れがありますので、女坂をご利用ください」と書かれています。静かではありますが力強い通行禁止指示と捉えていいと思います。男坂の右手に迂回できる巻道の女坂が続いています。

伊豆ヶ岳の山頂は決して広いとはいえませんが、木々に覆われた山頂からは樹間に武甲山の姿をチラ見できます。山頂手前に伊豆ヶ岳の山名由来の説明板があります。語源はアイヌ語の尖った山容を意味する「イズ」と言われているそうです。また快晴の日なら山頂から伊豆方面が見えることから命名されたという説や柚子の木が多くあったことから柚ケ岳がなまった説などの諸説を紹介しています。

山頂手前の休憩ポイントで、山メシを広げながら故事を好き勝手に言い合うのも楽しいかもしれませんね。伊豆ヶ岳から先はアップダウンが激しくなります。
