知らない者同士でも仲間意識?
都会では、膨大な数の人たちと常に接しているので、他人がどうしていようといちいち関心を持つことなどできません。見知らぬ人は、「まるでいない」かのようにふるまうのが一般的。
でも、山の中では、圧倒的に人の数が少ないのです。
そして、そこで出会う人は、(ほぼ)全員が「山が好き」という共通点があり、同じようなカテゴリに属するヒト同士。なので初対面でも親しみを感じるし、すれ違うだけでも「人に会った!」と、なんとなくうれしくなるものです。

「こんにちは」だけじゃなくて、一言二言、話しかけたりすることもあります。
「今日は暑いですね」
「お天気がよくて景色がきれいですね!」などなど。
ついでに、ちょっとした情報交換が行われることもあります。
「この先で、ちょっと道が崩れかけているところがあったから、気をつけてくださいね」
「ハチの巣がありましたよ。刺されないように気をつけて」
「さっき、イノシシの親子が登山道に出てきてました」
これらはいずれも、直近のリアルな情報なので非常に役に立ちます。
六甲山のロックガーデンの近くを下っていたときのことです。そろそろ下山しないといけない時間帯に、なぜか前から登ってくる親子の姿が。ちょっと不審に思いながらも、「こんにちは」とあいさつをしてすれ違おうとしたのですが、
「この先で、イノシシが道にいて、進めないんです。ほかに下ることができる道を知りませんか」とのこと。別のルートをお教えしながら、途中まで連れ立って下りました。お互いのリスク低減につながった事例です。
いざという時の捜索の手掛かりになるかも
会話をしないまでも、挨拶をするときって、一応相手の顔を見ますよね。だいたいの年齢と、服装やバックパックの色など、印象に残ったことを覚えているかもしれません万が一、下山してこない、行方不明になった人を捜索する場合、目撃者を探します。何時にどこにいたのかを確認することで、足取りを想定することができるのです。

イマドキは登山アプリでも「こんにちは」
登山の記録アプリ「YAMAP」には、「みまもり機能」があります。登山中の位置情報をYAMAP のサーバーに送信することで、万が一のとき、迅速な発見・救助につながる機能です。
その機能のひとつ「こんにちは通信」をonにしておくと、携帯圏外であっても、スマートフォンのBluetooth通信によって、すれ違ったユーザー同士が最新の位置情報を交換。通信圏内になったときに位置情報が自動的にサーバーに送信される仕組みです。アプリを使っているなら、活用してみるといいと思います。
【データ】
こんにちは通信とは
https://help.yamap.com/hc/ja/articles/900000920486