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猛暑が終わってこれから活発化? マダニに噛まれた後にするべき行動とは

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温暖な時期のアウトドア活動での困りごとのひとつが虫刺され。虫よけスプレーや蚊取り線香などの対策グッズはいろいろあるけど、それでも刺されてしまうこともありますね。恐ろしい感染症を媒介することもあるうえ近年生息エリアが拡大、各地で被害が急増している「マダニ」。今回は、防御していても、万一食いつかれたときにどうすればいいのかについて解説します。

皮膚にマダニがくっついてたらどうする?

ハウスダストなどに交じっている「ダニ」と、「マダニ」は混同されることも多いのですが、「ダニ(屋内塵性ダニ)」は、サイズが小さくてほぼ肉眼では見えません。一方、マダニの体長は3~8mm程度なので、注意深く見れば見つけられます。ただし、吸血前は小さいので気づきにくく、1週間ほどかけてたっぷり血を吸って大きくなってきてから気づくことが多いようです。

皮膚に食いつくマダニ

身体にくっついても、すぐに吸血を始めるわけではなく、じっくりと吸血するのに適した場所を探して、しばらく皮膚の上をうろうろするみたいです。その段階なら、さっと払えば除去できます。また、食いついてからも、早い段階なら簡単に取れるようです。マダニに取りつかれないように対策をすることと併せ、帰宅後に衣服内にいないかをしっかりチェックすることが大事です。

そして、皮膚に食いついているマダニを発見した場合ですが、手で払うなどして簡単に除去できた場合は、その個体を確実に駆除してください。マダニは生命力が強く、エサがない状態でもかなり長期間生きているそうです。家の中で逃がしてしまったら、また食いつかれるかもしれませんよ。

タカサゴキララマダニ

食いついているマダニが軽く引っ張っても取れない場合は、無理に引きはがすのはNGです。マダニは、長時間かけてじっくり吸血するために、セメント状の物質を出して口器を固定するため、無理にひっぱると口器が皮膚内に残ってしまうのです。筆者は数ヵ月に渡ってひどい炎症に悩まされたことがあります。

また、ピンセットなどを使って引き抜こうとすると、マダニの体液が逆流して皮膚内に注入されてしまうこともあるとか。マダニが媒介する「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」ウィルスを持っている場合、感染リスクが高まります。簡単に取れそうにないなら、なるべく早く病院(皮膚科)を受診してください。

山行中などですぐ病院に行けないときは?

すぐに病院へ行けないときに筆者がやってみたのが、アルコール消毒剤を含ませたティッシュを当てて、しばらくアルコール攻めにした後、虫刺されの塗り薬(ムヒアルファEX)をたっぷり塗り込んで、軟膏で窒息させる作戦。

マダニは真空状態でも生きているという説もあるので、軟膏で殺すのは無理かもしれませんが、引っこ抜くことができないなら、せめて少しでもヤツにダメージを与え、同時に患部の炎症を予防する効果を期待してのことです。1時間くらいしてからそっと引っ張ると、あっさり取れました。お亡くなりだったのかな? 一応そのときは、予後は悪くなくて、病院には行かずにすんだので、もしかしたら効果があったのかもしれません。しかし、何度もマダニに咬まれると、意外な症状が起きることがあるんです。

猟師の間でささやかれてきた「殺した獣の呪い」とは

筆者は最初のマダニ咬傷被害のときに、かなり悲惨な状況になったので、二度目に咬まれたときは、その道の第一人者がいる兵庫県医科大学で診察を受けることにしました。毒虫咬傷に関して日本でトップクラスの〝毒虫先生〟こと、夏秋優教授がおられたからです(現在は定年退職されています)。

大学病院は町医者と違って、紹介状がないと診てもらえないものですが、一度目のひどい経験から、どうしても毒虫先生に診ていただきたかったので、ダメ元で電凸してみたのです。
「マダニに咬まれてたいへんなことに……」と訴えると、予約分の診療が終わった後に診てあげましょうと言ってくださいました。

そのときは、受診する前に自分で除去していたのですが、そのマダニはセロハンテープに貼り付けて持参しました。

それを先生が顕微鏡で確認してくださって、「タカサゴキララマダニですね。口器はちゃんとついていますよ」とのことで、ちょっと安心。一応、血液を採取して、アレルギー検査もしてもらったのですが、そのときに、びっくりしたことがひとつ。

「これだけの数値だと、牛肉を食べたらものすごく体調が悪くなるでしょう?」と聞かれたのです。

じつは筆者は肉がダメなヒトで、とくに牛肉は食べません。なので、「食べないのでわからないですけど、マダニと何か関係があるんですか?」とお聞きしてみました。すると……。山で動物を仕留めることを生業としている猟師さんたちの間で、「いつも獣を殺している祟りで、肉が食べられなくなる」という話があるんだそうです。元々肉が大好きだったのに、あるとき急に、焼き肉なんかを食べたりすると、てきめんに体調が悪くなるとか。

じつはそれはマダニのアレルギーだそうです。何度もマダニに咬まれると、マダニの唾液成分に抗体ができて、アレルギー反応を起こすようになるのですが、それがなぜか牛肉の成分と同じだそうなのです(謎)。ちょっと具合が悪くなる程度ならまだいいのですが、アナフィラキシー症状を起こすこともあるとか(怖)。肉が大好きな人は、マダニには咬まれないようにした方がいいですね。