ソトラバ

寒くなると食べたくなるカップ麺! 〝残った汁をどうするか問題〟を考える

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街中にいるときには思いもよらないような困りごとが、山の中ではちょいちょいあります。そんなことのひとつが、「ラーメンの残り汁」の処理問題。

ご自宅などで食べるときは、何も考えずに流しの三角コーナーにザーッと捨ててますよね。でも、山の中にシンクはないし、ゴミ箱があったとしても、汁物は捨てられません。どうしますか?

カップラーメン

山頂近く、見晴らしのいいちょっとした広場で美味しそうにカップラーメンを食べていた登山者。
食べ終わって、スープが残ったカップを持ったまま、「んー?」という感じで何か考えているもよう。

景色のいい岩場

しばし逡巡して、背後のヤブの中に残り汁をザーッとあけました。

「だ、ダメですよぉ! そんなとこに捨てちゃ」
「だって捨てるところ、ないし……落葉ふかふかだし、バクテリアが分解するでしょ?」

もちろん、森林限界を超えないレベルの低山なら、時間が経てば、土中の微生物が分解してくれるのでしょうが、でも、それまでの間に、その匂いに野生動物が誘因されてしまったりするんです。

今年頻発するクマ問題も人間との距離の問題

今年は、クマによる人身被害が激増していますが、本来野生動物というのは人間には近寄らないもの。

それが、人との距離が近くても平気になってきたのは、いろいろな要因があるようですが、そのひとつが、人の食べ物の味を覚えてしまうことだと言われています。

山小屋やキャンプ場のごみ箱をあさったり、テントの外に置いてある食べ物を奪ったりする個体は、次第にその味に惹かれて、人を恐れなくなるのだとか。

怖さより、美味しい食べ物の魅力の方が強く、警戒しながらも何度も食べようと人間の生活圏に出没するうち、次第に慣れてきて、「人間なんてべつに怖くないじゃん!」って感じになってしまうようです。

キャンプ場で外に食料を置いてはいけないのはもはや常識

上高地にある小梨平キャンプ場では、鉄製のコンテナを食料庫として設置してあります。すぐに食べる分以外は、夜間も含め、この中に収納しなければなりません。テント内であっても、食料を置いてはいけないルールです。

小梨平キャンプ場食料コンテナ

以前、テントで寝ていた利用者がクマに襲われたことがあり、それ以降食料の管理が厳密になったのです。

今年8月には、薬師岳近くの薬師峠(太郎平)キャンプ場にクマが出没し、テントと食料を奪うという事件が起きました。それ以後、同キャンプ場は幕営禁止に。

来年度どうなるのかはわかりませんが、今季は閉鎖のままシーズンオフとなりました。快適で、とても好きなテント場なんですけど。

太郎平

野生動物に人の食べ物の味を覚えさせてはいけない

クマに限らず、人間の食料品を野生動物に食べさせてはいけないのです。たとえそれが、わずかなラーメンの残り汁であっても。

食べ残しを捨てることはもちろんNGですし、うっかり食べ物を落としたり、動物に奪われたりすることも、結果的に同じことです。食品のニオイがついた包材などのごみも含め、人工物を山の中に一切残さないよう、登山者は配慮をする必要があります。

これから先、野生動物との軋轢を避けるためには、もはや義務といってもいいかもしれません。