【書評】今どきまっとうなアウトドア本 vol.07 『ワイルド・クエスト-ネイティブアメリカンのフルサバイバル術』

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究極のサバイバルと狩猟・採集・ヒーリング

第2章からは、具体的なサバイバル術について詳しく紹介されています。

最近の気象災害を報じるニュースなどで、「命を守る行動をしてください!」という、これまであまり耳にしたことのないフレーズを聞くようになってきましたが、本書によれば、究極的な状況で生き延びるために必要な要素は以下の5つ。

                          

1. 空気

2. 体温

3. 水

4. 火

5. 食糧

                      

空気がなければ3分間で死に至る。体温が維持できなければ3時間で命の危険。水が得られない場合、生のリミットは3日間。

この3つは、「3の法則」と呼ばれているそうですが、自力でちゃんと「助かる」ためには、空気が無い状態は1分、体温低下は1時間、水無しは1日が限度と考えて行動するべきである、と書かれています。

空気がない状況というのはかなり特殊なので、本書ではそれ以外の4項目について、具体的なサバイバルスキルが紹介されています。

もう一つの「現代人が忘れてしまったもの」とは

第1章で、アウェアネスを取り戻すことについて書かれていますが、最終章も、現代人が忘れてしまったもののことが取り上げられています。

それは「ナチュラルメディスン」。

ネイティブアメリカンの教えから、5つのナチュラルメディスンについて解説。ストレスの多い現代人には、自然の力を借りるヒーリングは、救いになるものかもしれません。

身近な野草の活用方法なども紹介されており、ハードなサバイバルとかはちょっとムリ、と思う人でも、このあたりからなら実践してみることができるかもしれません。

さて私も、本書を片手にちょっとウラヤマへ野草を摘みに行ってみようかな、などと……。

 

【データ】

『ワイルド・クエスト-ネイティブアメリカンのフルサバイバル術』の書影

WILD AND NATIVE 川口 拓 著『ワイルド・クエスト-ネイティブアメリカンのフルサバイバル術』(2023年6月刊/誠文堂新光社)

https://www.seibundo-shinkosha.net/book/hobby/80198/

WILD AND NATIVE 川口 拓(ワイルドアンドネイティブ かわぐち たく)

自然学校「WILD AND NATIVE 」主催。2013年、一般社団法人「危機管理リーダー教育協会」を設立。CMLE災害対策インストラクター養成トレーナー、CMLEブッシュクラフトインストラクタートレーナー、自衛隊危機管理教官、自衛隊サバイバル教官。著書に『ブッシュクラフトー大人の野遊びマニュアル』『民間人のための戦場行動マニュアル』など

https://wildandnative.com/

 

■評者 根岸真理

1961年、神戸市須磨区生まれ。1歳前に親に連れられて六甲登山デビュー。アルパイン歴30年の自称アウトドアライター。神戸新聞総合出版より『六甲山を歩こう!』ほか六甲山関連本を4冊上梓。神戸新聞「青空主義」欄に月イチで六甲山情報を執筆中。

http://653daigaku.com/information/14176/

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