美しいけれど刺されたら大変! 毒を持つ種の特徴と防衛術【へんないきもの・クラゲ編 vol.04】

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  • クラゲに刺されたら適切な対処が必要
  • カツオノエボシ
  • アンドンクラゲ
  • 賑わう海水浴場
  • 海にはラッシュガード持参で

最近はクラゲを飼う人も多く、癒しの生物とされていますよね。ところで、海に行ってクラゲに刺されたということはないでしょうか。クラゲに刺されるとかなり痛みを感じます。

人間にとってはちょっと変わっているけれど、自然界で懸命に生きるいきものたちを紹介する「へんないきもの」シリーズ。今回は鶴岡市立加茂水族館飼育課係長・池田周平さんに、クラゲの毒について教えてもらいました。刺されたときの対処法もうかがったので参考にしてください!

クラゲにも刺す種類と刺さない種類がある

日本の海には500種類以上のクラゲが住んでいるそうです。その全てのクラゲが人を刺すのでしょうか。

「クラゲは大きく分けると刺胞動物と有櫛動物に分けられます。そのうち、刺胞動物に属するクラゲが人を刺すんです」(池田さん)。

刺胞動物とは、触手に毒液を注入する針「刺胞」を持っている生物の総称です。クラゲ以外にもイソギンチャクやサンゴなどに刺胞動物に分類される種類がいます。

危険! アナフィラキシーショックを引き起こすことも

クラゲに刺されたとしても、ちょっとチクっとするくらいじゃないの? と思う人もいるかもしれませんが、場合によっては大変なことになります。

「クラゲの種類によって毒の強弱があるうえ、人の体調や体質などによっても毒の効き具合が異なるので一概には言えませんが、弱い毒のクラゲでも何度も刺されると、アナフィラキシーショックを引き起こすことがあるので注意が必要です」(池田さん)。

触っても何も感じないという人でも、何度も触っていると、急にアナフィラキシーショックを引き起こすケースがあります。呼吸困難などの症状を引き起こす可能性があるので、クラゲをあなどらないようにしましょう。

神秘的で美しい姿にだまされちゃダメ 【カツオノエボシ】

毒を持つクラゲは多くいますが、なかでもとくに危険なクラゲの一種にカツオノエボシがいます。

「主に夏になると太平洋側の砂浜に打ちあがっていることがあります」(池田さん)。

見た目は鮮やかな青色をしており、神秘的で美しいクラゲです。気泡体とよばれる一酸化炭素が入った器官を持ち、海面に浮かんで生活しています。

「刺胞毒は非常に強く、刺されると電気ショックを受けたような痛みがあり、別名『電気クラゲ』とも呼ばれています。触手が非常に長く、距離をとっていても刺されてしまう可能性があります」(池田さん)。

                                                                

【DATA】

カツオノエボシ

分類 刺胞動物門 ヒドロ虫網 クダクラゲ目 嚢泳亜目 カツオノエボシ科 カツオノエボシ属

学名 Physalia physalis

                                                               

お盆の頃に出てくる行灯型の怖いヤツ 【アンドンクラゲ】

お盆の頃、海水浴でクラゲに刺されてミミズ腫れになったという場合、犯人はアンドンクラゲであることが多いそうです。

「アンドンクラゲは体が透明で触手が長いため、刺されても見つけることが難しいんです。光に集まる性質があり、港のライトの下に行くと、集まっていることがあります」(池田さん)。

アンドンクラゲのアンドンとは行灯のことだそうです。確かに立方体の傘と長い触手が行灯のようにも見えます。お盆と行灯というとお化け話を思い浮かべますが、クラゲの行灯も怖いので注意してください。

クラゲたちは人を刺している意識はない?

ところで、なぜクラゲは人を刺すのでしょうか。

「クラゲが毒針を持つ理由は主に2つです。餌を捕まえるためと身を守るためですね。クラゲは脳みそがありません。つまり何も考えておらず自ら人を襲うことはありません。刺されてしまうのは、私たち人間がクラゲのいる場所にたまたま遭遇してしまい、毒針の入った触手に当たってしまっているのです」(池田さん)。

クラゲがゆっくり生活しているところに、おじゃましてしまったが故の悲劇なのですね。とはいえ、クラゲがどこにいるか分からず、避けるのは難しそうです。

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