あてにしていた水場が涸れていた! 「本当にあった」に学ぶ、登山のリスクヘッジ【vol.05 水分補給編】

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どれくらい水分を摂るのが適切か

脱水による障害を防ぐには、運動中に失われた水分と同量の水を補給すればよいのですが、どれくらい脱水したのかを把握するのは難しいもの。

国立鹿屋体育大学の山本正嘉助教授らが行った実験を参考にしてみましょう。 

・全く水を飲まない
・自由に水を飲む
・発汗量を計測し、それと同量の水を飲む

という条件の被験者に一定の運動をしてもらったところ、全く水を飲まないグループは、時間経過と共に体温が上昇し、4時間で疲労困憊。

自由に水を飲んだグループでは、体温上昇はさほどでもなく、最後まで歩けたものの、後半で体温が上昇。摂取した水分は、失われた量の2/3程度でした。

発汗量に等しい量の水を強制的に摂取させたグループでは、最後まで体温が上昇せず、最も快適に歩けたそうです。

この実験からわかることは、「のどが渇いたと感じたとき、飲みたいだけ飲んだのでは足りない」ということ。山本氏の研究によれば、登山活動中に摂取すべき水分量のめやすは、1時間あたり5g×体重(kg)だそうです。

仮に体重が50㎏の人であれば、250g。2時間でペットボトル1本を飲みきる感じです。もし8時間歩く計画なら、2リットルの水分が必要ということになります。

水は重いので、あまり持ちたくないという気持ちもあると思いますが、脱水によるリスクをしっかりと認識し、適切に水分補給を行うことが大切です。

長い距離を歩くときは、コースの途中で水場、水道があるところ、お店や自販機など、飲み物を補給できるところがあるかどうかをチェックしておくとよいのですが、水場が涸れている可能性もぜひ視野に入れておきましょう。

■参考文献
山本正嘉著『登山の運動生理学』(2000年8月刊/東京新聞出版局)

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