夏から秋にかけて野鳥が少なくなる東京。それでも、野鳥観察を楽しめる場所があります。今回は、海に面した東京港野鳥公園へ。通年見られるカワウやカモメに加え、シギ・チドリ類を探してきました。

野鳥公園はかつて埋立地でしたが、自然にできた池や原っぱに野鳥が集まるようになったことがきっかけで公園化されました。その後整備や拡大を経て、シギ・チドリ類の重要な生息地として国際的にも認められたことをきっかけに、約36ヘクタール(360,000平方メートル)に拡大。
東京ドーム約7.7個分に相当する公園内には、写真のような汽水の「潮入りの池」、淡水の「東淡水池」「西淡水池」、「前浜干潟」などの他、田んぼや雑木林があります。

撮影した鳥を場所と共にシェアするアプリでは、175種類もの野鳥が登録され、留鳥のカワウ、アオサギ、コサギなどの他、下の写真のキアシシギ。季節によっては、ヒメアマツバメ、コチドリ、メダイチドリ、またホシハジロやスズガモなど多くのカモ類もやってきます。

天候に左右されずに野鳥が観察できる貴重な場所!
東京港野鳥公園には、他の公園と同じように複数の観察場所が設けられています。特に特徴的なのは、屋内でゆっくりと野鳥を観察できる観察小屋が4つもあることです。小屋にはベンチが設置されており、雨の日でも快適に観察を楽しめます。

冷暖房完備で、階によって館内での飲食も可能なネイチャーセンターからは、目の前の潮入りの池を一望できます。ここでは、野鳥の様子や潮の満ち引きを観察でき、筆者はこの場所で、初めて野生のエイを見ることができました。

間近で干潟の生き物を観察できる「がた潟ウォーク」
野鳥公園の一番のおすすめはもちろん野鳥観察ですが、ネイチャーセンターの地下1階には干潟の上を歩ける「がた潟ウォーク」という通路がかかり、干潮時にはハサミを動かすチゴガニなどの干潟の生き物を観察できます。残念ながら今回見られなかったものの、トビハゼもいるそうで、干潟の様子を見に来るだけでも価値がありそうです。

野鳥観察のための情報が充実
野鳥公園には、日本野鳥の会のレンジャー、ボランティアガイドがいて園内を巡回している他、オフィシャルサイトの東京港野鳥公園のページでは、前日確認された鳥や今月見られる鳥などを遭遇率と写真と共に情報発信。またブログで観察できた野鳥の種類が写真と共に紹介されているので、遭遇するかどうかは鳥次第ですが、タイミングを見計らって訪れることが可能です。
実際に行ってみて何種類観られるのか?
初級者の筆者が行ってみて探鳥をした結果、スズメ、ハシブトガラス、キジバト、ムクドリ、カルガモ、ハクセキレイ、カワウ、アオサギ、コサギ、ダイサギ、トビ、イソシギ、キアシシギ、下の写真のコチドリと思われる鳥を見ました(写真は切り取っています)。初級者でも数時間回っただけでこれだけ見ることができました。今回は見られませんでしたが、他にも野鳥公園でおすすめの野鳥がいます。

大きく開けた口が赤い【オオヨシキリ】
ギョギョシ!とカエルのように鳴くオオヨシキリは、体長18cmほどのオス・メス同色の夏鳥で、河川、池沼、海岸などの水辺に広がるヨシが生えている場所で目にする鳥です。

日本には春に繁殖のために渡ってきますが、オオヨシキリは繁殖時期にオスの口の中が赤くなるのが有名で、シーズンにはインスタにアップしている鳥好きさんが多いです。野鳥公園では自然生態圏、潮入りの池、東淡水池で見られます。
ピンクの長い脚と長いクチバシが特徴【セイタカシギ】
オモチャの水飲み鳥に似ていると個人的に思っているセイタカシギは、体長37cmほどの名前の通り足長で背の高さが印象的なシギの仲間です。

留鳥または旅鳥として区分され、水田や河川・湖沼などで見られます。野鳥公園では春から秋にかけて潮入りの池、東淡水池、前浜干潟で目撃されるようですが、8月前後が見やすいかもしれません。
空の上から一気に魚を狩る【ミサゴ】
上空から一気に海に飛び込み泳いでいる魚を狩るミサゴはタカの仲間です。別名をウオタカ(魚鷹)と言い、魚好きな留鳥として全国の、河川、湖沼、海などに分布する猛禽類です。

体長54–64cmほどで、同じくらいの大きさで、よく似たトビと見分けるには、お腹の白さと頭頂の白いものがミサゴと覚えると良いかもしれません。野鳥公園では自然生態圏 潮入りの池 東淡水池 前浜干潟で見られます。
カーブのあるクチバシがトレードマーク! 【チュウシャクシギ】
チドリ目シギ科に分類される鳥で、干潟や砂地でカニなどの甲殻類を取りやすいように進化した下にカーブした長いくちばしが最大の特徴です。

約42cm程度の体長で、シベリアなどの北極圏で繁殖し、冬はオーストラリアなど南半球で越冬する長距離の渡りを行います。近年、干潟の減少などによってその個体数は減少していますが、潮入りの池 東淡水池 前浜干潟で観察できることがあるようです。