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海を見下ろす絶景と山上の森の緑と不思議に調和する現代アートの作品群! 神戸六甲ミーツ・アート2025開幕

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  • 神戸六甲ミーツ・アート2025
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筆者のホームマウンテン、六甲山の秋の風物詩として年々人気が高まっているのが「神戸六甲ミーツ・アート」。六甲山の自然の中で、多彩な現代アートの作品に触れることができる展覧会です。今年で16回目となり、今回は国内外で活躍するアーティスト60組を招待。公募作家15組と併せて、非常に見ごたえのあるアートイベントになっています。

緑滴る8月下旬に開幕し、山上が紅葉に彩られる11月下旬まで、約3カ月に渡って、山上のあちこちに面白い風景が展開。心地よい秋の山上でハイキングを楽しみながらアート作品を鑑賞できるとあって、会期中は多くの人々で賑わうのですが、さっそく今年も歩いてきました。アクセスは、六甲ケーブル。山小屋風のお洒落な駅舎が、ミーツ・アート仕様になっていて、いきなりテンションアップ。六甲ケーブルは、標高255mの下駅から、737mの山上駅まで標高差約500mをわずか10分で運んでくれます。

下界はまだまだ猛暑で、ケーブルでラクして上がってきましたが、山上はやっぱり涼しい。そして、山上駅隣の展望台からは、大阪湾を一望する絶景が楽しめます。

「天覧台」という展望台なのですが、ミーツ・アートの期間中は有料エリアになっています。ココで展示されているのは、インドにルーツがあるタイ人のナウィン・ラワンチャイクンさんの作品『神戸ワーラー』。インド映画風の世界観がとても面白いです。展望台がいきなり異国感満載な感じに。

この会場のもうひとつの作品は、京都在住の美術家・山田毅さんの『自動れきしはんばいき』。怪しい小屋の中に、なんだか懐かしい感じのものがいろいろ展示されています。メインは自動販売機で、六甲山と、山上から見えるエリアのあちこちで作家が拾い集めてきた「れきし」がワンコインで売られています。手元に500円玉がなかったので、買えなくて残念……。

買った人に見せてもらったら、エピソードが書かれた紙が一緒に入っていたそう。見慣れた山上の風景がちょっと不思議なことになっている。ケーブル山上駅からまずは、山上の交差点「記念碑台」へ向かって歩きます。別荘街の坂道を登ること約15分。高台の上の広場に、オブジェが登場していました。

石島基輝さんという作家による『風の中のClock systems』。時計の部品が、風を受けてゆらゆらと動き、時折不思議な音を立てます。この日はわりと穏やかな天候だったのですが、台風のときに来たらどんな音がするんだろう。また違う天候の日に来てみたいです。

記念碑台をあとに、ハイキング道を東へ。西側にも会場があるのですが、一日でまわるのは不可能なので、何日かにわけて鑑賞する計画です。別荘街を通り抜け、「ブナの径」を下ると、新池という池のほとりに出ます。

池の中にあるのが、川俣正さんの作品『六甲の浮橋とテラス Extend 沈下橋2025』。この作品は、3年前に池の真ん中にテラスができたのが始まり。橋が渡され、沈下橋が付け加えられ、さらにExtendして、年々進化していくのが面白いです。

去年はこの水上テラスを舞台に、アーティストの森山未來さんのキュレーションによって、「大駱駝艦」の舞踏家・麿赤兒さんと、フランス人パフォーミングアーティスト、フランソワ・シェニョーさんによる舞踏劇『秘儀ーGOLD SHOWER』が行われました。

日暮れの頃に、だんだん暗くなってくる森の中、まるでお能のような舞台は神秘的で、鳥肌が立つような迫力ある作品でした。今年も何かパフォーマンスが予定されているみたい。

六甲山上に奈良美智作品が登場!

今回のミーツ・アートの最大のトピックスは、青森県出身の世界的アーティスト、奈良美智さんの作品が登場したこと。アンティークオルゴールのコレクションで知られる「六甲森の音ミュージアム」の庭園に、巨大な奈良さん彫刻があります。

緑豊かな森の中にどどーんと鎮座しているのは、『Peace Head』という作品。高さ3mほどもある巨大なもので、あどけない少女の顔が、あまりにも大きくて、前に立つと圧倒されます。

奈良美智さんと言えば、鋭い目つきの少女の絵が有名ですが、東北で起きた未曽有の大震災を境に、作風が変わったとか。奈良さんが手で作った粘土作品を、そのままこのサイズまで拡大したそうで、作家の指跡がそのままリアルに表現されています。

人間の力が及ばない大自然、争いごとの絶えないこの世界で、『Peace』は単なる平和の希求というより、人間の小ささを思い、平穏や安寧を願うことの意味を問いかけるものなのかもしれません。

室内でじっくり鑑賞する作品も

「六甲森の音ミュージアム」の隣にある「六甲高山植物園」にも、たくさんの作品があります。ココでは、映像館という建物の一室に展示されている中村萌さんという女性作家の作品がとても愛らしくてよかったです。

『Silent Journey』と題された木彫作品。クスノキを材料に、愛らしい少女の姿が彫られています。絵画作品も併せて展示されており、部屋全体がひとつの作品世界となっていて、不思議な安らぎを感じる空間になっていました。

六甲高山植物園は、北海道南部と同じような気候を活かして、いろいろな高山植物を育成しているのですが、ブナをはじめとする巨木も多く、心地のいい森の空気感が楽しめます。そんな緑の中に、ちょっと不思議な感じで、いろんな作品が点在。

森の中で不思議な感じと言えばコチラ……。 歩いてきたら、急にこれが目に入ってきて、ぎょっとしました。佐藤圭一さんの『じいちゃんの鼻の穴に宇宙があった。』という作品。宇宙は……あったようななかったような。

会場そのものも観る価値がある「風の教会」

建築家・安藤忠雄と言えば、コンクリート打ちっぱなしの作品が有名ですが、教会三部作のひとつ、「風の教会」が六甲山上にあるんです。

かつては、この隣にあったホテルのチャペルとして建てられたのですが、ホテルの方は閉鎖されて建物ももう残っていません。しかし、人気の高い安藤建築はそのまま保存されていて、ふだんは入れないので、ミーツ・アートの期間中はアートファンだけでなく、建築が好きな人もやってきます。

文字通り、山のさわやかな風が通り抜けるアプローチを通って、教会内部へ。内部に展開しているのは、岩崎貴宏さん作品の『Floating Lanterns』。

岩崎さんは、広島県出身の建築家。阪神大震災で失われた建物や、広島の土砂災害で倒壊した建物などをモチーフに、十字架に向かって収束していくような不思議な世界が表現されています。

ちなみに以前は、ここで結婚式のほかコンサートなども時折開かれていました。光の入り方がとてもきれいなのがお気に入りなのですが、コンクリート壁で天井が高いので、音響もよいみたい。バイオリニストの方はとても気持ちよさそうに演奏されていました。