【書評】今どきまっとうなアウトドア本 vol.06 『野草がハーブやスパイスに変わるとき』

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  • 野草がハーブやスパイスに変わるときの書影
  • ハーブ王子こと野草研究家の山下智道
  • 新芽では紅色になるアカメガシワ
  • 樹皮をスパイスにしたカレー
  • つる科のクズ
  • 高級食材の吉野葛
  • クズを使った花飴
  • 野草がハーブやスパイスに変わるときの書影

アウトドアでのアクティビティや自然の知識を身につけると、外での活動がより楽しくなる。この連載では、そんなためになる本を古今東西問わずに取り上げます。今回は、キャンプやハイキングで出会うかもしれない野草に関する知識が得られる一冊。古来、人類はさまざまな植物を活用して暮らしてきました。野菜もハーブもスパイスも、元は野生の植物。使える植物に関する知識を学べます。

ハーブ王子が伝授する植物の知識と活用法

著者の山下智道さんは、ハーブ王子として知られる野草研究家。生薬や漢方薬などの造詣が深かった祖父、登山家の父の影響で、幼少の頃から野山で自然や植物に親しみながら育ったそうです。

植物に関する広範な知識を活かして、観察会や各種ワークショップ、ハーブやスパイスを活用したメニュー開発やブランディングなどにも精力的に取り組んでいます。

本書では、亜熱帯の沖縄から、亜寒帯の北海道まで、気候や植生の異なる日本各地のいろいろな植物の活用方法を紹介。先人たちの知恵が詰まった伝統的な活用方法に、著者ならではのエッセンスを加えた、現代風の使い方まで、盛りだくさんな内容です。

木本(樹木)編、草本(野草)編、キノコ&海藻編で構成されており、巻末には気をつけるべき有毒植物の一覧もあります。

食材や薬品などに使われる有用植物については、その探し方や見分け方、その植物が持つ効能、味わい方までわかりやすく解説。写真も美しく、見ているだけでワクワクする一冊です。

身近に生えている植物の意外な利用方法も

木本編のトップバッターは「アカメガシワ」。本州から沖縄にかけて広く分布しており、都会でも道端に勝手に生えているのをよく目にする植物です。新芽のとき、葉っぱが鮮やかな紅色をしているのを見かけたことがある人は、少なくないと思います。

あまりにもありふれているので、評者はむしろ「刈ったほうがいいのでは」とさえ思っていたのですが、意外なことに、古くから生薬として利用されてきたのだとか。熊本県の一部地域では、精霊送り(供養のための伝統行事)のためのお団子づくりにも使われてきたそう。本項では、著者オリジナルの樹皮を使った意外なメニューが紹介されています。

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