キャンピングカーのマストアイテムの一つとして知られる「FFヒーター」。エンジンをかけることなく、クルマの燃料（ガソリン、軽油）を使って、車内を暖めてくれる暖房装置ですが、意外にもその仕組みを知らない人も多いことでしょう。ここでは、寒い冬キャンプの神装備として知られる「FFヒーター」について解説します。
エンジンかけて暖をとるのは場合によっては危険！
そもそもクルマの暖房（ヒーター）は、エンジンブロックの中に刻まれた水路に冷却液（クーラント）を循環させ、ヒーターラジエターを介して熱を車内へと導くことで温風を生み出しています。そのため、エンジンを止めた状態では冷却液が熱せられず、室内に暖かい風を送り込むことはできません。
つまり、車内を暖めようとすればエンジンを動かし続けなければなりません。エンジンをかけ続けながら車中泊を行うことは、無駄な排気ガスを生むだけでなく、エンジン音や排気音が周囲のキャンパーへの迷惑行為となり、最悪の場合には、排気ガスが車内へと入り込むことで一酸化炭素中毒を引き起こす可能性も否定できません。
FFヒーターなら経済的で安全に車内の暖房ができる
そんなシチュエーションを打破してくれるのが「FFヒーター」であり、キャンプ好きならFFヒーターというワードを耳にした事があるはず。このFFヒーターの「FF」とは強制給排気式を意味する「Forced draught balanced Fuel systems」の頭文字を取ったもので、自動車業界ではクルマに取り付けるヒーター（暖房器具）を指すます。
その用途はエンジンを使った暖気の循環ではなく、FFヒーター単体で暖が取れることに大きな意味があります。構造を簡単に説明するのなら「後付け式の燃焼式ヒーター」であり、燃料タンクからポンプを介して汲み上げた燃料（ガソリンや軽油）、または別体のタンクを設けてLPガスなどをヒーター本体で燃焼させて熱を得るシステムです。燃焼に使用する空気は車外から取り込み、燃焼後の排気も自動的に車外へと放出することで一酸化炭素中毒を引き越す心配もありません。ここではFFヒーターがもたらすメリットについてレポートしていきます。
【メリット.01】エンジンをかける必要がなくエコで経済的
春、夏、秋とは違い、気温が下がる冬場の車中泊で車内の温度を快適に保つには暖房器具は欠かせません。通常の自動車はエンジンを稼働させることで「熱」が生まれ、熱せられた冷却水を使い「熱交換」を行うことで暖気を生み出しています。そのため、エンジンを停止した状態では暖を取ることができませんが、FFヒーターはエンジンをかけることなく、安全に使用することができます。
【メリット.02】安心・安全で車内をクリーンに保てる
強制給排気式を意味する「Forced draught balanced Fuel systems」の通り、車外の空気を取り込み、強制的に排気ガスを車外へと放出するFFヒーターは、車内の空気を汚すこともなく、石油ストーブのような匂いを感じることはありません。一般的な燃焼系のストーブや暖房器具とは異なり、密閉された車内で使用し続けることができ、常に暖かく快適な車内空間を維持し続けることができるのです。もちろん、一酸化炭素中毒の心配もなく安全性も◎です。
