キャンプ道具をすべて積み込もうとすると、どこかで無理が出るもの。タープやチェア、クーラーボックスに調理器具。荷室に押し込んだはいいものの、取り出すたびに全部出し直し、なんて経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
車中泊を視野に入れるなら、そこに寝具やマットも加わります。「積載」と「就寝スペース」を同時に確保しようとすると、一般的なミニバンの荷室では限界が見えてきます。
トヨタのミニバン「ノア」「ヴォクシー」をベース車両に、モデリスタブランドを手がけるトヨタカスタマイジング&ディベロップメントが、アウトドアと車中泊の両立を意識した架装を施したコンプリートカー「MULTI UTILITY〈MU(エムユー)〉」を2026年5月に発売しました。
単なる外装カスタムではなく、アウトドアや車中泊での実用性を高める装備を工場段階で架装した完成車。どんな装備が備わり、どんな使い方を想定しているのか。詳しく見ていきます。
ベース車両S-Gハイブリッドに架装を加えたアウトドア向けコンプリートカー
MUはトヨタ「ノア」「ヴォクシー」のコンプリートカーです。コンプリートカーとは、メーカーの工場段階でカスタム架装を施した完成車のこと。購入後に後付けパーツを取り付けるのとは異なり、架装済みの状態で納車されます。
それを手がけたのは、モデリスタブランドを展開する株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント。エアロパーツなどの外装カスタムで知られるブランドですが、MUはアウトドアや車中泊での実用性に特化した内装架装が中心です。
なお設定されるのはS-Gハイブリッド(2WD・5人乗り)の1種類のみで、ノアとヴォクシーの両車種に対応しています。
キャンプ帰りの積み下ろしを減らす専用ラゲージ設計
MUに標準で架装される装備のうち、アウトドア利用で特に注目したいのが「専用ラゲージフレーム&ラゲージボード」。荷室を上下2段に仕切る構造で、走行時の耐荷重は60kg。上段にすぐ取り出したいものを、下段にかさばる道具類をと、荷物を用途別に整理して積めます。キャンプサイトに着いてから「あれがどこに入ったかわからない」という状況を減らせる実用的な仕組みです。
車内照明として「専用ルームランプ(6灯)」が天井に配置されています。LED色はホワイトで、専用のON/OFFスイッチ付き。使用時は標準架装の専用アクセサリーソケットに接続する方式です。夜間の着替えや荷物の出し入れなど、暗い場所での作業をサポートします。

電源まわりではデッキサイド左側に「専用アクセサリーソケット(DC12V・120W)」を1口増設。ベース車両にもアクセサリーソケットは備わっていますが、MUではラゲージ近くに1口追加されるため、アウトドア機器や車中泊時の電源確保に使いやすい配置になっています。
そのほかスマートフォンや小物を置ける「専用クォータートリムトレイ」、ハンガーやLEDランタンを掛けられる「専用ユーティリティフック」(耐荷重3kg)も標準装備。ソトラバ編集部の視点でまとめると、MUの標準架装は「積む・照らす・充電する」という車中泊・アウトドアの基本3機能を、追加費用なしで整えた構成といえます。

フロントベッドボードで実現する大人2人分のフラットスペース
標準架装に加え、注文時に選べる架装メーカーオプションとして「フロントベッドボード(税込16万5000円)」が用意されています。リアシートを倒して3分割のベッドボードを広げると、大人2人が足を伸ばして横になれるフラットなスペースが完成します。総耐荷重は150kg。荷物はラゲージボードの下に収納できるため、ベッド面を広く使えます。なお走行時はベッドボードとベッドフレームを取り外す必要があります。
販売店装着オプションとして「MU専用シートカバー(税込11万円)」も設定。カラーコーディネートとお手入れのしやすさを意識した設計で、シートバックに設けたベルトにギアやポーチ類を取り付けられる実用的な仕様です。

ここで注意しておきたい点があります。フロントベッドボードは架装メーカーオプションのため、注文時に指定する必要があり、納車後の後付けはできません。「やっぱりベッドが欲しかった」とならないよう、MUを車中泊仕様にするかどうかは、注文前に決めておくことが重要です。
フロントベッドボードが必要かどうかは、アウトドアの使い方次第です。月に数回キャンプに出かけ、現地に泊まることが多いなら選択する価値は十分あります。一方、日帰りが中心で荷室の収納力アップが主目的であれば、標準架装のみでも十分な実用性を確保できます。同行人数や泊まりの頻度を基準に、注文前に判断しておきたいところです。
価格帯と乗車定員から考えるMUの購入判断ポイント
車両価格はノアが407万円、ヴォクシーが412万600円(いずれも税込・2026年5月現在の参考価格)。フロントベッドボード(16万5000円)を加えるとノアが423万5000円、ヴォクシーが428万5600円からとなります。価格は販売店が独自に定めるため、詳細は各販売店への確認が必要です。
ボディカラーは4色展開。プラチナホワイトパールマイカ・アーバンロック・ニュートラルブラックがノア・ヴォクシー共通で、メタルストリームメタリックはノアのみの設定です。なおプラチナホワイトパールマイカはメーカーオプション(3万3000円)となります。内装色はブラック、シート表皮は上級ファブリックで統一されています。

架装部分の保証期間は、納車日から1年間または走行距離2万kmのいずれか早い方です。
MUが向いているのは、週末のキャンプやアウトドアレジャーを定期的に楽しんでいる人、荷室の収納力と車内の居住性を同時に高めたい人、将来的に車中泊も視野に入れているファミリーやカップルです。
一方、乗車定員が5人乗り固定のため、3列フルに使って7人・8人での乗車が必要な場面が多い人には向きません。またフロントベッドボードは注文時の指定が必須で納車後の追加はできないため、購入時点で車中泊の用途がまだ決まっていない人はオプション選択の判断を迫られる点も考慮が必要です。
ノア・ヴォクシー MUは、アウトドアや車中泊での実用性を高める架装を工場段階で施したコンプリートカーです。既製のミニバンをベースにしながら、日常の買い物からキャンプ・車中泊まで幅広い用途に対応できる構成を、購入時点で選べる点がこのモデルの特徴といえます。
一方で、架装済みの完成車であるがゆえに、オプション選択は注文時が唯一のタイミングです。「どんな使い方をしたいか」を事前に整理しておくことが、購入後の満足度に直結します。カタログや販売店での確認と合わせて、自分のアウトドアスタイルに照らした検討をおすすめします。
【詳しくはこちら】
◆モデリスタ
tel.050-3161-1000(受付時間10時から18時・指定定休日除く)
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