ソトラバ

ランクル好きが唸る「からし色の80系」。自作バンパーとダイソーで魅せる無骨カスタム

楽しい外遊びはソトラバで。アウトドアWEBメディア Soto Lover


トヨタ・ランドクルーザーが誕生して75年。その節目を祝うイベント「LAND CRUISER 75th ANNIVERSARY DAY」が2026年8月1日から2日にかけて、群馬県嬬恋村の「無印良品 カンパーニャ嬬恋キャンプ場」で開催されました。主催はトヨタ自動車が運営するファンコミュニティ「ランクルBASE」。標高約1300mの高原に全国から161組425名のランクル乗りが愛車とともに集まりました。

歴代から最新までが思い思いのスタイルで並ぶ会場はそれ自体がひとつの展示会のよう。そんな一角で、ひときわ目を引くからし色の80系ランドクルーザーに出会いました。大阪から愛車を走らせてきた「Soul」さん。会社員で、ランクル歴は3年だといいます。

旧いものへの偏愛、黄色へのこだわり、そして無骨なカスタム。一台に凝縮されたそのスタイルを本人の言葉とともに紹介します。

ジムニーを手放しランクル80を選んだ理由とは

ガレージにはランクル80のほか、仕事と通勤に使うハイエース、そして日産パオ。かつてはジープ・チェロキーやスズキ・ジムニー(JA11)も乗り継いできた生粋のクルマ好き。共通するのは「古いもの、味のあるものが好き」という一貫した嗜好。「今の新しい車のコックピットは、電化製品にしか見えない。見た目もみんな似たり寄ったりで」と、現行車にはめっぽう手厳しい。「70も、復刻版より最初のオリジナルの方が絶対いい」と言い切ります。

そんなSoulさんがランクルにたどり着いたのは、「日本の歴史、トヨタの歴史というか、ランクルそのものに魅力を感じて」のこと。本命は60系だったが、ディーゼルの排ガス規制をクリアする手間とコストを考えあえてガソリン車に的を絞ったところ、タマ数が多かったのが80系だったといいます。

「LAND CRUISER 75th ANNIVERSARY DAY」に参加していた一般オーナーSoulさんの80ランクルリアビュー

ジムニーからの乗り換えには、ひと悶着もありました。具体的には「これを買うなら、ジムニーは手放せ」という奥様の指令。すでにハイエースもパオもある。「4台もどうするんだ」という話になり、JA11は手放すことに。それでも新型ジムニーには「全然興味がない」ときっぱり。あくまで狙うのは、味のある旧いランクルなのです。

黄色に統一されたギアとキャンプ歴10年の軌跡

ひと際目を引くのが車体からギアまで貫かれた”からし色”。「色々アースカラーも考えたんですけど、目立つのはこっちだなと。実際こうやって声をかけてもらえたので」。タープも電動工具のDEWALTも、収納ボックスのTHORも、全部黄色で統一。「特にこだわりはないですけど、パッと見た感じがいいなと」と、理屈より感覚を優先するスタイルです。ちなみにランクル80を買う前からキャンプ道具はすでに黄色で揃えていたそうで、その道具はキャンプスタイルに合わせて今も増え続けているといいます。

キャンプを始めたのは10年ほど前、きっかけは海。ウインドサーフィンやSUPサーフィンにのめり込み、深夜に出発して明け方の波を狙う生活を続けるなかで車中泊、そしてキャンプへと自然に移行していったといいます。しかしある日、大きな波に巻かれた経験から恐怖心が芽生えたそう。奥様のこともあり、今は穏やかな水面を選ぶようになりました。

もとは走り屋でシャコタン乗り。バイクもロードタイプから始まり、やがてトライアル・モトクロスの世界へ。「近畿で3本の指に入る先輩がいて、プロだと思ってました」と笑う。「馬鹿にしていたバイクが、めちゃくちゃ面白かった。それから、食わず嫌いせず色々経験しようというスタンスになった」。4駆への興味も、ジムニーをきっかけに芽生えたものでした。

工業資材から生まれた手づくりリアバンパー魂

カスタムのコンセプトはひと言で「無骨」。パーツ選びに強いブランド志向はなく、価格帯で選ぶことも多いといいます。それでも足回りに使うのはランクル80用パーツで知られる「88ハウス」製。同社のコイルスプリングを組み6〜7インチのリフトアップを実現。「オレンジですね、バネ」というこだわりのカラーも、88ハウスのオリジナルカラーです。

リフトアップでタイヤが小ぶりに見えてしまうのが気になり37インチを導入したところ、今度はハンドルをフルに切るとリアフェンダーに干渉する問題が発生。「普通に走る分にはいいけど、悪路は走られへん」状態になってしまったそう。35インチまで落とすことも検討しましたが、そのサイズだと17インチホイールが主流。愛用の18インチホイールでは選べるタイヤが限られてしまうというジレンマを抱えながら、現在はマキシスのタイヤでこのサイズ感を維持。「上げたら上げたらで、今度はショックの伸びしろが追いつかない。ちょっとお金を使いすぎですね」と笑いました。

「LAND CRUISER 75th ANNIVERSARY DAY」に参加していた一般オーナーSoulさんの80ランクルのタイヤ&ホイール

もっとも印象的なのがリアバンパーの自作エピソード。工業用の材料をバーナーで炙って曲げ、縞板を貼り付けて製作したという力作。フレームへの穴あけと溶接は友人の手を借りたそうですが、発想と造形はSoulさんならでは。「ノーマルで乗りたくないんですよ。だから色々イジるようになった」という言葉に、カスタムへの姿勢が凝縮されています。

前日に取り付けたばかりの真新しい寝床事情

ルーフの上に載るのは、フランス生まれのルーフトップテントブランド「ジェームス・バロウド」。もとはハイエースでの車中泊スタイルに慣れていたSoulさんですが、「ランクルで行った時、車中泊はどうしようと。ベッドキットも考えたけど、どう考えてもゆっくり寝られない」と、ルーフトップテントに行き着いたといいます。新品なら数十万円する製品ですが、手に入れたのは中古で19万円。「程度もいいし、安かった」と満足げです。

「LAND CRUISER 75th ANNIVERSARY DAY」に参加していた一般オーナーSoulさんの80ランクルの載せている「ジェームス・バロウド」のルーフトップテント

取材前日、Soulさんは長野・諏訪まで足を延ばしていました。目的は愛知・小牧でこのテントを買い、その場で取り付けてもらうこと。つまり今回のイベントがまさに「初就寝」の場だったのです。「ロックのかけ方がまだ手探りで」と苦笑しながら、これから重ねていくであろう試行錯誤を楽しんでいる様子でした。愛犬もルーフの上で一緒に眠る予定ですが「ハーネスが抜けることがあるので、それが一番怖い」と気を引き締めます。

節約と工夫が光る手作り感あふれる装備選び

装備の細部にもSoulさんらしいコスパ哲学が光ります。ガイロープ代わりに使うベルトタイプのロープは、なんとダイソー。「みんなが使うブランド品なんて高いでしょう。それがちょっと腹立って」と笑いながら明かしてくれました。別の一本はTemu経由で購入したという1000円ほどの品。「1万何ぼとかするものが、めちゃくちゃ安く手に入る」と、既製品に頼らない工夫が随所に光ります。

Temu経由で購入した激安なベルトタイプのガイロープ

マフラーはフレックス製。「とにかく安いのを選ぼうと思ったら、たまたま安かった」というのが選定理由。「音はまだ満足していない」と、こちらも試行錯誤の途中です。

そんなSoulさんがランクル仲間から聞いた話では、走行25万kmの個体を250万〜290万円で購入した例もあるのだとか。「僕は140万円、走行10万kmでした。いいタマを見つけた」と振り返ります。今後は角目4灯へのカスタムも視野に入れているそうです。

今回のイベントにはこれまで参加してきた集まりや島根のランクルフェスでの交流が楽しく、その延長で参加を決めたといいます。「ランクルベースさんのイベントは今回が初めてで、嬬恋にも来たことがなかった。ちょっと行ってみようかなと」。

からし色のボディに旧いものへの偏愛、そして無骨なカスタム。一見バラバラに見える要素もSoulさんの中では「理屈より感覚」というひとつの軸でつながっていました。ダイソーやTemuを使いこなす柔軟さも既製品に高い金額を払うことへの違和感も、根っこは同じ。ノーマルでは満足せず、自分の手と感覚で一台を育てていく。そんな姿勢がこのランクル80には詰まっています。

75周年という節目のイベントで出会った一台は”高級SUV”という枠にはまらない、ランクルの間口の広さを象徴する存在でした。