空に浮かぶ雲の正体は何?  雲のことを知って雲と仲良くなる「雲の図鑑」vol.2〜雲の種類〜

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雲はどれくらいの高さの空にあるの?

国連の専門機関である「世界気象機関=World Meteorological Organization(WMO)」が発行する学術資料『国際雲図帳(International Cloud Atlas)』で、以下の10種の基本形が定められています。

              

●巻雲
●巻積雲
●巻層雲
●高積雲
●高層雲
●積乱雲
●乱層雲
●積雲
●層積雲
●層雲

「巻」「高」「積」「層」「乱」の字が複数出てきますが、「巻」と「高」は高さによる分類、「積」「層」「乱」は、形状による分類です。

雲は、地球を取り巻く大気の最下層にあたる部分、地表面から約15km程度の高さの空気の層=対流圏にできます。

そのうち、最も高いところにできるのが「上層雲」で、高度5000m~1万3000mくらい。1万3000mといえば、旅客機の飛行限界高度で、通常は1万mほどの高度を飛行しています。     

ちなみに世界最高峰のエベレストが8849m。世界で一番高い都市、ペルーのラ・リンコナダが5100mです。上層雲にあたるのは、「巻雲」「巻積雲」「巻層雲」の3つ。

これらの雲がある高さでは、気温が低く、ほぼすべて氷の粒からできています。これらの雲から、雨や雪が降ってくることはほとんどありません。落下したとしても、地上にたどり着くまでに蒸発してしまうからです。       

「中層雲」があるのは、高度2000m~7000mくらい。日本で一番高い富士山の標高が3776mですので、その前後から倍くらいの高さです。中層雲にあたるのは、「高層雲」「高積雲」「乱層雲」。中層にあるのに高層雲? と思いますが、高層にあるのは「巻層雲」で、ちょっと紛らわしいネーミングとなっています。     

最も低い雲、「下層雲」は、地表付近から2000m程度の高さ。山で言えば、東北の岩手山や、関東の雲取山くらい。雨や雪などの降水をもたらす雲は、「乱層雲」、「積乱雲」を除くと、この高さにある雲が主体となります。

高さによる分類の番外編とも言える「積乱雲」は、発達すると1万3000m付近まで上昇することもあり、下層から上層まで伸びる非常に大きな雲です。

このように、一言で「雲」と言っても、いろんな高さにあり、いろんな形状をしています。それぞれに個性があって、雲を観察することによってわかることもあります。次回から、いろんな雲たちを紹介していきたいと思います。

             

■本稿の監修者:大矢康裕

■プロフィール:気象予報士、気象予報士会CPD認定第1号。山岳防災気象予報士として活動。著書に『山岳気象遭難の真実 過去と未来を繋いで遭難事故をなくす』(山と溪谷社)

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