岬など、海沿いの見晴らしの良い場所に建つ灯台。船が安全に航行するための目印となる建造物ですが、自然豊かなロケーションに建っていたり、歴史的価値があるなどの理由から観光地としても人気があります。今回は水先案内人として全国各地に散らばる無数の灯台の中から、筆者が特に注目する「3つの名灯台」を紹介していきましょう。
初の国産レンガを使用した現役最古の犬吠埼灯台
関東で有名なのが、千葉県銚子市・銚子半島の最東端にある「犬吠埼灯台」です。「世界の灯台100選」にも選ばれており、見学者数は日本一。その歴史は古く、明治7年11月15日に完工・点灯しました。
同灯台の特徴は、高さ約32mにおよぶレンガ造りの西洋式灯台であり、日本で初めて国産レンガを使用して建てられた建造物であるということ。巨大な第1等レンズを備える現役の灯台の中では、日本最古の灯台である点も見逃せません。その歴史的価値の高さなどが認められ、同灯台は2020年に国の重要文化財に指定されました。

また同灯台は、全国でも珍しい「のぼれる灯台」です。参観時間は3月~9月は午前8時30分から午後5時まで、10月~2月は午前8時30分から午後4時まで、いずれも最終入場は終了時刻の30分前までです。また、2026年8月29日(土)と30日(日)の2日間は、普段見ることができない夜間時間帯にものぼることができます。両日とも最終入場は午後7時30分締切で、8時まで開放されるそうです。訪れた際はぜひ灯台にのぼり、眼下に広がる雄大な景色を堪能してください。隣接する灯台資料展示館への訪問もお忘れなく。
驚異の到達距離49kmを記録する室戸岬の第1等灯台
高知県の「室戸岬灯台」も全国的に有名です。室戸岬の先端に位置し、標高151mの山上に佇んでいます。高所であるため、建築は一筋縄ではいかなかったそうです。資材は陸路ではなく帆船を使って海路で海岸へ運ばれ、そこから山頂まではレールを敷き、蒸気の力で運搬されました。
建築されたのは明治32年で、現存する鉄造の灯台としては日本で2番目に古いものです。日本に5カ所しかない直径2m59cmの第1等フレネル式レンズを備えた第1等灯台に属し、日本一を誇る光達距離は49kmに達します。基本的に見学は外観のみですが、毎年11月1日に近い日曜におこなわれる「灯台まつり」の日には内部の一部が一般開放されますので、灯台好きの人はチェックしておきましょう。

近代化産業遺産と重要文化財に指定された経ヶ岬灯台
京都府にある「経ヶ岬灯台」は、明治31年に初点灯しました。先述した犬吠埼、室戸岬とならび、国内に5カ所存在する第1等灯台のうちの1つで、フランスで開発されたレンズを回転させる装置「水銀槽式回転機械」をいち早く取り入れた灯台として知られています。水銀槽式回転機械は、灯台建築当時開催されていたパリ万博で買い付けたものということから、歴史の深さが窺えますね。
明治時代に建てられいまなお現存することや、日本海側の船舶の航行と気象観測に重要な役割を果たしてきたことなどから、2008年に近代化産業遺産、2022年に国の重要文化財に選定されています。
灯台下の海岸には建材を切り出した石切り場の跡が残っているほか、経ヶ岬の特徴である安山岩の柱状節理も観察できるなど、灯台周囲の見どころも豊富です。

三大灯台は航海の安全を守ると同時に、日本の建造技術の進歩や西洋技術の導入といった歴史の流れを今に伝えてくれる建造物でもあります。訪れる際は建物の外観や周囲の景色だけでなく、灯台が背負った歴史にも注目してみてくださいね。

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